第30話 ライバルと卑劣な行為
速多達が準備をしていると、誠実そうな青年が
話しかけてきた
???「速多さんですよね?」
速多「はい、そうですけど?君は?」
信太「はじめまして!僕は信太です!
速多さんの走りを前回見て、ファンになりました!
僕も今日のレースに出場するので頑張ります!
今日はよろしくお願いします!」
信太は笑顔で速多に手を差し出す
速多は照れながらも、笑顔で答える
「ファンだなんて…とても嬉しいよ!
でも、今日の勝利は譲らないよ!お互い頑張ろう!」
凛はそんな速多を見て満足気に微笑む
(アンタにもファンが出来たのね…)
信太はS2000に乗りグリッドに向かう
スモールアニマルズの面々が速多にエールを送る
山岡「頑張ってね!」
麗華「速多さんなら大丈夫ですわ!」
信濃「まぁ程々にな」
「クワァン!」(負けたら承知しないわ!)
「キキー!」(速多頑張れ!)
「ウキィ!」(負けないでね!)
速多「任せてください!必ず優勝してきます!」
凛「行ってくるわ!」
速多と凛も愛車に乗りグリッドに向かう
会場では大勢の観客が始まるのを
今か今かと待っている
会場に入れなかった人は
コースのガードレール脇で待機している
実況と解説が選手とコースを紹介していく
解説には、何とエドが来ていた
実況「さぁ!間もなくレースが始まります!
今年優勝するのは一体誰なのか!?さらに!
今回の解説はレース界のレジェンド!エドさんに
来ていただいています!」
エド「今日はよろしくお願いね!」
実況「エドさん!今日の注目の選手はいますか?
やはり、前回大会優勝者の遊矢選手でしょうか?」
エドは少し考える素振りを見せ、2人いると告げる
エド(遊矢は何か嫌な感じなんだよなぁ、ラフプレー
とかしないと良いけど)
「そうですねー!僕は1人注目している選手が
います!」
実況「その1人とは!?」
エド「速多…いや、速多選手かな?」
実況「そうなんですね!速多選手は普段は
おっとりしていますがレースになると狂気的な
走りをする事が分かっています!更に!
ナビゲーターの凛選手も、冷静に速多選手を
支えています!
そんな2人がどんな走りをするのか注目です!」
エド「今回のコースは、かなり勾配がキツく
タイトなコーナーが多いね!高い技術と精神力が
試されると思うよ!」
エドは心の中で速多にエールを送る
(速多!頑張って!)
グリッドに全台が集まりスタートを待つ
レッドシグナルが消え各車一斉にスタートする
ヴオォォーン!!ブワァァァン!!
ブオオォォォ!!
実況「今スタートしました!注目の速多選手!
無理に先頭には行かず中団でトップを目指します
遊矢選手は、速多選手の前に!最年少の信太選手は
遊矢選手の前に位置取りました!」
速多と凛は遊矢が、自分達の前に来たことに一抹の
不安を覚える
速多「何か嫌な感じがしますね…」
凛「えぇ…でも今は私達がやるべき事を
やるしかないわ!いいわね!?」
速多「はい!」
信太はやる気満々
信太(僕は…僕の出来ることをやるだけだ!)
遊矢はほくそ笑んでいた
遊矢(わざわざ俺の後ろに来るなんてな!どんな手を使っても抜かせねぇよ!それより前の車が邪魔だな…そうだ)
遊矢は良からぬことを考えつく
レースは順調に進んでいく
速多は皆が度肝を抜かれるようなイカれた走りを見せつける
その様子を見た観客達は興奮気味
観客「あのスイスポのドライバーは恐怖心が
ないのか?イカれてる!」
観客「あぁ!見てるこっちがヒヤッとするぜ!」
実況「速多選手!!素晴らしい走りです!
スイスポを自分の手足の様に扱っています!
まさに一心同体です!!」
エド「凄いよね!僕でもこんな走りは
できないかもしれない!」
凛「アンタ!次のコーナーはブレーキは少しで
良いわ!アクセル全開よ!」
速多「わかりました!」
速多は凛の指示通りの走りを見せる!
ゴギャャャア!!!ギュゥルルル!!
周りの選手は困惑する
選手(嘘だろ?あんなタイトなコーナーを
全開でクリアしていく!)
選手(凄いとしか言えないぜ)
そんな速多のプレッシャーを一番に受けている遊矢に
少しずつ焦りが見えてくる
遊矢(くそ!何なんだあいつ!イラつくぜ!
もう良い!次のコーナーでかましてやるか!)
次のコーナーに進入する直前!何と遊矢は
前を走っている信太のイン側に車をぶつけながら
無理やりノーズを突っ込む
衝撃で信太のS2000が外に弾き出される!
信太「!!!」
ギュルルル!!ガァシャァァン!!
グシャァァ!!!
速多「信太!!!」
凛「アイツ!!わざとヤッたわね!!
速多!!破片が来るわ!気をつけなさい!!」
スピンしたS2000はそのまま壁に刺さり大破する
飛んでくる破片を辛うじて避ける速多!
大幅なタイムロスとなったが
コーナーを何とか曲がる
しかし、そこには遊矢はおらず
もう既に次のコーナーを曲がり終わった所だった




