第3話 新たな出会いと信濃の思い
ピットに戻って来る速多と男達
男達はゲラゲラ笑いながら速多を侮辱する
男1「威勢がよかった割にはやっぱり雑魚だったな!」
男2「そもそもノーマルのスイスポで俺達に挑むなんて、頭がおかしいとしか思えないな!」
男3「こんなゴミみたいな車なんて価値が無いぜ!これに懲りたらさっさとそんな車捨てて軽でも乗っとけよ!」
男達はその場を立ち去っていく
信濃「気にするな、相手の車が良かっただけだ、寧ろ健闘した方だと思うぞ」
信濃が俯いている速多に声を掛ける
速多「うぅ、信濃さん、俺、悔しくてたまらないです!折角信濃さんが整備してくれた車を侮辱されて、勝負にも負けてしまって本当にすいません・・」
信濃は胸が熱くなる
(この青年、俺や車の事をここまで思っていてくれたなんて)
その時
ピット奥からツナギ姿のつり目の女性が現れ速多に声を掛ける
???「ほんと情けないわ」
速多は誰だろう?と頭にハテナが浮かぶ
信濃「言い過ぎだぞ凛、速多この子は俺の娘の凛
少々・・いや、かなりのじゃじゃ馬娘だが整備や、チューニングの腕前はピカイチだ」
信濃は苦笑いをしながらも娘の腕の良さに自信満々の表情
凛「速多といったかしら?貴方の走り方はあまりにも見ていられないわ、ライン取りは甘いしブレーキングポイントもダメダメ、しかもアクセルポイントもズレている、もう少し考えて走りなさい!」
速多は感嘆する
速多「良く見てますね!しかも自分では気付かない事ばかりでした!ありがとうございます!」
凛「別にお礼を言われる様なことはしていないわ、ただ、貴方みたいな素人を放置しておくと、この場所が危険にさらされるから仕方なくよ!」
素っ気ない態度を取る凛
信濃はニヤつき、素直じゃねぇなと呟くが凛に睨まれたのでそっぽを向く
信濃「まぁ、あれだ今後も娘を頼む、そうだ!もし良かったらスイスポを1週間預かっても良いか?俺と凛でスイスポをいい感じに仕上げておく」
速多「え!?良いんですか!?是非お願いします!」
凛「はぁ!?何で私がそんな面倒な事しなくちゃいけないのよ!」と凛が噛み付く
速多はシュンとして悲しそうな目を凛に向ける
速多「・・だめですか?」
凛は速多の姿が、まるで雨の日に捨てられた子犬のような顔をしていたので、何とも言えない罪悪感に苛まれる
凛「あぁ!もう!分かったわ!やれば良いんでしょ!やれば!」
速多「凛さん!ありがとうございます!楽しみにしていますね!」
速多は喜びを爆発させ思わず凛の手を握ってしまう
凛は顔を赤くし手を振りほどき、信濃を睨む
信濃はニヤつきながら1週間後に来てくれと速多に伝えるのだった




