第28話 キリングレーシングからの挑戦状
大会も近づいて来たある日
スモールアニマルズが練習をしていると
外から派手なイエローのフェラーリがやって来る
速多は興奮気味に凛に話しかける
凛は麗華の表情が曇ったのを見逃さなかった
速多「凛さん!見てください!フェラーリですよ!」
凛「見れば分かるわよ!それよりも麗華さん?
大丈夫?」
麗華「えぇ…大丈夫ですわ」
マリー達が麗華に近づき、身を寄せる
「クゥン」(ちょっと、大丈夫?)
「キキ」(どうした?)
「ウキ」(顔色が悪いよ)
フェラーリから男女が降りてくる
女はニヤニヤしながら男に抱きついており
男も同じようにニヤつきながら歩いてくる
山岡は眉をひそめ、動物達も警戒していた
山岡(やな感じな奴らだな)
「クウゥン!」(嫌な匂いがするわ!)
「ウッキー!」(なんか怪しいぜ!)
「ウキキ!」(そうだそうだ!)
男女は、麗華達の前まで来ると麗華は二人の名前を小さく呟く
麗華「遊矢…冷子」
遊矢と呼ばれた男は、外見が派手で如何にも
軽そうな感じが見て取れる
冷子と呼ばれた女性は、厚化粧をしており
こちらも、遊んでそうな印象を受ける
遊矢「まさか本当に、こんなチームに移籍してたなんてな!まぁ、裏切り者にはぴったりな
チンケなチームだな!ただ、俺の元カノなんだから
しっかりしてくれよ!」
麗華は唇を噛み締め怨みを込めた目で遊矢を睨む
すかさず、冷子が笑いながら麗華に声を掛ける
冷子「そんなに睨まないでよー!怖いじゃない
私が遊矢を奪った事を、まだ気にしてるの?」
何と遊矢と麗華は昔、付き合っていたらしい
麗華は冷たい声を2人にぶつける
麗華「今更何のようかしら?ワタクシとあなた達は
もう縁も無いのですけれど?」
冷子「なによ、連れないわね!だから男に捨てられるのよ!」
遊矢「そうだぞー!顔とスタイルは良いけど
お前は真面目すぎてつまねぇんだよな!
夜だって演技一つしやしねぇ!その体は男を喜ばせる為にあるんじゃないのか?」
麗華は体が震えている
その様子を見た山岡は限界だった
怒りで体が震え今にも飛び出していきそう
マリー達も激怒しているが、何とか堪え
山岡に纏わりつき落ち着かせようとしている
丁度ライドオンに訪れていた男1.2.3も山岡を落ち着かせる
山岡(あの野郎!俺の麗華に
好き勝手イキりやがって!ゆるせねぇ!)
男1「落ち着け!」
男2「こんなところで争っても意味ないぞ!」
男3「あんな奴言わせておけば良いんだ!」
「クアン!クワァン!!」(父さん!気持ちは分かるけど落ち着きなさい!)
「ウキキー!」(親父!こらえるんだ!)
「キィ!」(父ちゃん!こらえて!)
山岡は歯を食いしばり、何とか怒りを飲み込む
凛が気を利かせて遊矢に問い詰める
凛「アナタは過去の事を自慢しに来たのかしら?
違うなら要件を早く言ってちょうだい?こっちも
暇じゃないの」
遊矢「チッ、まぁ良い、ここに下りには自信があると
イキリ倒している男がいると聞いたんだが?」
凛「えぇ、いるわ、イキリ倒してはいないけど」
凛は速多を指さす
遊矢は速多を見て嘲笑う
遊矢「ほんとにコイツか?間抜けな面した
ガキじゃないか!」
その言葉を聞いた瞬間
凛の表情が無になっていく
男1.2.3は恐怖で震え退散していく
男1(まずい!凛ちゃんに速多の悪口は厳禁だ!)
男2(俺は何も見ていない!俺は何も見ていない!)
男3(あ…あいつ終わったわ)
凛が何かを発しようとした時
速多が何の用か聞く
速多「一応、オレがこのチームのリーダーで
下りを担当してますけど…何か?」
遊矢が自己紹介をして速多に挑戦状を突きつける
遊矢「本当にお前かよ!しかもリーダーって!
まぁ良い
俺はキリングレーシングの下りを主に担当している
遊矢だ!
お前に本物のダウンヒルを見せてやるから
来週、近くの公道で行われる
タイム走の大会に参加しろ!
もちろん拒否権はないぜ!逃げるなよ?」
速多は挑戦状を受け、少し意地悪を言う
速多「わかりました、次の世界大会に向けて
いい調整になりそうです」
(意地悪すぎたかな?)
遊矢は少しムッとした表情を見せたが
直ぐに薄ら笑いを浮かべる
遊矢「ハッ!女の前だからってカッコつけやがって!
お前が無様に負ける所を楽しみにしている!行くぞ
冷子」
冷子「はーい!ま!せいぜい負けないように
頑張ってね!」
遊矢は去り際に山岡に麗華の事を馬鹿にしたような
事を言う
遊矢「麗華の新しい彼氏?麗華は昼は抜けてて
面倒くさいし夜はマグロだからつまんないだろ?
そんな面白くない女なんか、早く捨てちまえよ」
麗華の表情が悲痛な面持ちになる
山岡は静かに笑みを浮かべ、嘲笑うように遊矢の事を
馬鹿にし、麗華にキスをする
マリーは珍しく賛同し
ボンバーとヘッドは遊矢の事を小馬鹿にして
中指を立てながら踊り挑発する
山岡「あぁ?そんな事無いぜ?
それはお前のナニが小さかっただけじゃね?
俺の女は最高だぜ!?
俺より年上なのに、昼は可愛らしくて
夜は情熱的に俺を求めてくれる
こんな最高な女を手放したお前は
勿体ねぇことしたな!でもそのおかげで
最高な女と付き合えたんだから感謝してるぜ!」
「クウゥン!」(ほんと馬鹿な男ね!)
「ウキャキャ!!」(やーい!バカ男!)
「ウキィー!」(バカだ!バカだ!)
遊矢は顔赤くしながら足音を大きく鳴らし帰っていく
冷子は慌てて後を追う
遊矢「うるせぇ!よくもバカにしてくれたな!
お前達は絶対叩き潰してやる!」
冷子「ちょ!ちょっと待ってよ!」
遊矢達が立ち去ったあと
麗華はその場に立ち尽くし、静かに涙を流す
山岡が優しく抱き締める
マリー達も集まって麗華を励ます
麗華は元気を取り戻す
麗華「山岡様…ワタクシ…ワタクシ!」
山岡「心配すんなよ!さっきも言ったけど
お前は俺には勿体ないくらいの女だぜ!」
「クウゥン!」(父さんの言う通りよ!)
「ウキ!」(お袋と親父は相性バツグンだぜ!)
「ウキキ!」(そうだよ!)
麗華「みんな…そうですわね!あぁ!こんなにも
愛されて!ワタクシは世界一幸せ者ですわ!」
山岡「やっぱり麗華は笑顔の方が良いぜ!」
やり取りを見ていた速多と凛は安堵し喜ぶ
速多「やっぱりあの2人はラブラブですね!凛さん」
凛「そうね、でも私達も負けてないと思うけど?」
速多は凛が後半何を言っているのか
聞き取れなかったので、凛に聞き返す
凛はそっぽを向きそっけない態度をとる
速多「え?なんて言いました?」
凛「なんでもないわ!」
速多は急遽、来週のタイムアタックの大会に
出場する事になったのだった




