第2話 店主の誘いと屈辱と敗北
1ヶ月後
速多はドキドキしながら車屋に向かう
店に入ると新品と変わらないピカピカなスイスポがあった
店主が微笑みながら声を掛ける
店主「どうだ?新車と変わらない位に仕上げておいたぞ」
速多は目を輝かせて答える
速多「凄いです!事故車だったとは思えません!」
店主は名刺を差し出す
―ライドオンサーキット代表兼信濃モータース代表 信濃幸弘―
信濃「俺は近くのサーキットの代表もやっているから、峠で大暴走するくらいならうちに来て走っていくと良い」
速多「凄いです!サーキットも運営してるんですね!是非寄らせて下さい!」
信濃「小さなサーキット場だが楽しめると思うぞ!それからハイオク満タンサービスしておいたからな!」
速多は興奮した様子で信濃にお礼を言いスイスポに乗り込もうとする
その時、スイスポが『これからよろしくな!』と語りかけているような気がした
この時から、速多の中でスイスポが愛車に変わった
速多はボンネットを撫で微笑むのだった
それからというもの、速多は毎日愛車でドライブに行き楽しんでいた
そんなある日
速多は遂にライドオンサーキットに足を運ぶ
サーキット場には沢山のスポーツカーが並んでいた
速多が子供のように大はしゃぎしていると、信濃がやって来る
信濃「良く来てくれたな!遠くからでもお前のはしゃぎっぷりは見えてたぞ!」
速多は恥ずかしそうに笑い
速多「沢山のカッコいい車達がいるので、ついついはしゃぎすぎてしまいました!でも、俺のスイスポが一番カッコいいです!」
信濃は満足気に笑い
信濃「そうか!そう言ってもらえると整備した甲斐があるな!車屋にとってこれ以上の褒め言葉はない!」
速多は愛車に乗り込み早速コースを走る事に
走行中
(やっぱりスイスポは良いな)と改めて楽しくなる速多
走行が終わり信濃の元に行く
信濃「どうだった?初サーキットは?」
速多「峠よりも安心してスピードを出せてとても楽しいです!」
愛車も心なしか楽しげに見えた
その時
速多と信濃が談笑をしていると、ガラの悪い3人の男達が現れた
男達は、サーキット場にいる人達の車を馬鹿にし始める
男1「なんだよ、相変わらずここにはチンケなスポーツカーもどきしか無いのか?どれもこれもオモチャ同然だな」
速多は嫌悪感で一杯になり信濃に男達のことを聞く
速多「なんなんですあいつら?人の愛車達を悪く言って」
信濃は苦笑いをして答える
信濃「あいつらはここいらでは有名な問題児達だ、気にしなくていいぞ」
速多は気にしない様にしていたが、男達が遂に速多のスイスポを馬鹿にし始める
男1「おいおい、何だこのボロの車は?何でノーマルのスイスポがこんなところにいるんだ?」
男2「それに見てみろよ!このダサいホイール自転車の方がカッコいいんじゃないか?こんなゴミみたいな車で良くサーキットに来ようと思ったな」
男3「俺だったら恥ずかしくて来れねぇよ!」
男達はゲラゲラ笑う
速多は信濃が一生懸命整備してくれたスイスポを馬鹿にされて激怒する
速多「ふざけるな!!この車は信濃さんが心を込めて一生懸命整備してくれた俺の愛車だ!」
男1「なんだ?このガキ?これが車?寝言は寝てから言えよ!」
男2「そんなに言うなら俺達とタイム走をしようぜ!それが役立たずのポンコツだって事を教えてあげなきゃな!」
信濃は速多に挑発に乗るだけ無駄と言う
信濃「ほっとけほっとけあんな奴らの言う事なんて」
しかし速多は信濃の言う事を受け入れるつもりはない
速多「勝負を受けます!信濃さんが整備してくれた車を侮辱されるなんて許せません」
信濃は諦める
信濃「わかった、ただ無理はしないようにな」
そう伝えタイム走を見守る事に
男達はR35やエボⅩ、NSXに乗っており、ノーマルのスイスポじゃ勝ち目が無いのは明確だった
案の定、速多は負けてしまうのだった




