第16話 山岡の逆鱗
信濃が山岡と麗華にチームに来るのは歓迎するが
うちは小さなサーキットとガレージしかないと伝える
信濃「うちはトップチームの設備やメカニックには
到底及ばないが、本当にいいのか?」
山岡と麗華の声が重なる
「はい!問題ないです!」
「はい!問題ありませんわ!」
信濃「分かった、歓迎しよう、俺は一足先に
ライドオンに戻るから、終わったら来てくれ」
信濃は帰っていく
山岡は麗華の所属していたチームのことを聞く
山岡「麗華さんが、所属していたチームは
どんなところだったんです?」
麗華「有名な選手が数多く所属している、世界でも
トップクラスのチーム『キリングレーシング』
ですわ!ただ…」
山岡「ただ?」
麗華「内情は、チーム内の雰囲気は最悪で
足の引っ張り合いや、いじめなどが
横行していますわ…」
山岡「なんてことだ…」
麗華「更に、上の者達は選手達を、ただのお金儲けの道具としてしか見ておりませんわ、ですから悲惨な
状況でも放置しているんです…」
山岡「じゃあ、麗華さんは何故そんなチームに?」
麗華「ワタクシは最初そんなチームだと
思っていなかったんです…しかし、時間が経つ
に連れて徐々に分かってきました、レースの
ドライバーに選ばれると次の日から嫌がらせや
陰口が始まるんです…」
山岡は言葉にならない
山岡「・・・」
麗華「ですから!速多さんと山岡さんと一緒の
チームになれるのが楽しみなんです!」
山岡「麗華さん・・」
麗華「今から、キリングレーシングに脱退の意思を
伝えてきますわ!」
山岡「俺も行くよ」
麗華「えぇ!でも・・」
山岡「行かせて欲しい」
麗華「わかりましたわ!」
山岡「ありがとう」
山岡と麗華は、キリングレーシングの陣営に赴く
麗華「下衆田オーナーお話がございます」
下衆田「おや?どうした?事故車の産廃スイスポに
無様負けた女じゃないか?何のようだ?」
山岡(なんだコイツ?コイツがこのチームのトップ?
終わってんな)
麗華は下衆田の侮辱をスルーして淡々と話す
麗華「単刀直入に申し上げますとチームを
辞めさせて頂きます」
下衆田「寝言は寝てから言いたまえ!お前には
まだまだ稼いでもらわないと困るんだよ!
誰がここまで育てたと思っているんだ?」
麗華「ですが決めたことなので
申し訳ございません」
下衆田「ふん!まぁ良い、お前の代わりなんて
いくらでもいるんだ!少し可愛いからってつけあがりやがって!
後で泣きついても遅いからな!後悔するなよ?
ま、その時は奴隷の様に扱うのも良いかもな!」
下衆田はゲラゲラと笑う
麗華は最早何も感じていない
(ほんと、可哀想な御方ですわ)
しかし、山岡は限界だった!
いきなり、目の前の机を叩き割り下衆田の胸ぐらを掴み激怒する
山岡「てめぇ!ふざけんな!!さっきから黙って
聞いてりゃベラベラと舐めた事言いやがって!!
麗華に謝れや!」
下衆田「な、なんだ!おまえは!?」
麗華「や、山岡さん!?落ち着いてくださいませ!」
山岡「これが落ち着いていられっかよ!コイツは
お前の事侮辱したんだぞ!」
麗華「ワタクシは気にしていませんわ!それより!
早くその手を離してくださいませ!怖いですわ!」
山岡は不意に熱が冷め手を離す
山岡「あ、悪い」
下衆田「お、俺に歯向かったことを
後悔させてやるからな!」
下衆田はそそくさと逃げていく
山岡「れ、麗華さん!すいませんでした!
出過ぎた真似をして!」
麗華「いえ!むしろスッキリしましたわ!
山岡さん意外と男らしいですのね!」
山岡「あー、いや、そんな事ないですよ?
あはは…」
麗華「ワタクシの事を
呼び捨てでお呼びになるなんて…
なんて情熱的なのでしょう!」
麗華は山岡に抱きつく
山岡「れ、麗華さん!?」
麗華「麗華で良いですわ、ワタクシ山岡様の事が
好きになってしまいましたわ!もう離しませんわ!」
山岡「れ、麗華!?みんな見てるから!」
知らない間にギャラリーが集まってきていた
ギャラリー「なんだなんだ?
女王が抱きついてるぞ!」
ギャラリー「羨ましいなあの男!」
山岡「麗華!勘弁してくれ!」
麗華「嫌ですわ!山岡様!」
山岡は天を仰ぐ
(あぁ、俺も速多のこと言えねぇかも)
一悶着あったが
何とかチームメンバーを揃えることが出来た
速多だった




