第14話 狂気のダウンヒル
速多は凛の指示を聞き、スイスポをまるで手足の様に扱い、あり得ない速度で下りを攻めていた
凛「速多!次は連続S字よ!
ブレーキはそこまで踏まなくて良いわ!
全速で駆け抜けなさい!」
凛「分かりました!」
ヴオォォーン!!
ギュルルル!!
スイスポはものすごい音を出しながら、コーナーを曲がっていく
観客達は度肝を抜かれている
観客「見たか?あのスイスポ」
観客「あぁ!この霧の中を
臆せず駆け抜けていくなんて常軌を逸している!」
観客「もしかしたら本当に表彰台に立つかもな!」
速多はコーナーを抜ける
その先に、ぼんやりとテールランプが光っていた
速多と凛は遂に追いついたのだった!
速多「見えた!」
凛「見えたわ!」
11位の選手はいきなり後ろから現れたヘッドライトに混乱する
薄っすらとくま吉のステッカーが見える
選手(嘘だろ!何がどうなってんだ!)
速多はそのままノーズをテールに合わせるかと思いきや
ものすごい速さで横を抜けて行く
ブゥオォーンン!!
キュルキュルキュー!!
速多「凛さん!しっかり捕まってて下さい!」
凛「言われなくても!」
11位の選手は慌ててコーナを曲がるが
その先にスイスポの姿はなかった
選手(夢でも観てるのか!?なんだあの侵入速度は!
こんな霧の中を、あの速さで抜けるなんて
気が狂っている!)
選手は直ぐにピットに連絡する
選手「青のスイスポに抜かれた!
アウトから一気に!」
ピット内は大混乱
クルー1「嘘だろ!」
クルー2「上りの時は最後尾にいたじゃないか!」
クルー3「霧の中で一体何が起こっているんだ!」
ピットの状況は直ぐに実況に届けられ
会場にも知られる
実況「なんと!速多選手!霧の中で猛追し、見事に
追いつくことができ!更に抜かしてしまいました!
一体霧の中はどうなっているんだ!」
観客「嘘だろ?」
観客「夢を見ているみたいだ」
信濃は満足気にタバコに火を点ける
信濃(あいつら、無茶するなって伝えたのに、全く)
スタッフ「すいません…ここ禁煙なので、おタバコは外でお願いします」
信濃「あぁすいません、」
先頭集団は霧のゾーンを抜けていた
実況は次が誰が出てくるのかを予想する
実況「さぁ!続々と霧から飛び出してきました!
1位から4位まで団子状になっています!
順当に行けば次は麗華選手か山岡選手が
出てくるでしょう!」
速多と凛は次々と車を抜いていき、遂に残り5キロの所で山岡と麗華に追いつく
山岡(やっぱり来たか!勝負だ!速多!)
麗華(ありえませんわ!
一体何が起こっているというの?)
速多「凛さん!やっとここまで来ましたね!」
凛「えぇ!あのポルシェを抜けば表彰台よ!」
霧から抜ける3台は団子になって飛び出してくる
実況と場内の観客達は大興奮!
実況「何と!麗華選手と山岡選手の後ろに!
可愛らしい、くまのステッカーを貼った!
速多選手のスイスポがいるぞ!我々は夢でも
見ているのでしょうか!?一瞬にして、表彰台圏内に入りました!いよいよ3台はコーナーに
突入していきます!
ここの直線はかなり道幅が広く
3台が横並びになれるスペースがあります!しかし
コーナーはタイトになっています!
一体どうなるのか!」
3台は横並びになりコーナーに進入していく
インにポルシェ
センターにスープラ
アウトにスイスポ
観客「凄い!3台横並びだ!」
観客「あぁ!3人とも譲る気は無いらしい!」
観客「この勝負は見ものだ!誰が先にコーナーをクリアする!?」
凛「速多!ここで前に出ないと抜かすことは
難しくなるわ!でも、コーナーがタイトな分
かなりシビアなラインになるわ!」
速多「凛さんブレーキのタイミングだけ
教えてください!アウトからドリフトして、2台を
オーバーテイクします!」
凛「はぁ!!?なにいってるの!?
そんなの現実的じゃないわ!」
速多「凛さん!僕を信じてください!」
凛「あぁ!もう!わかったわよ!
失敗したらただじゃおかないから!」
麗華は驚愕していた
(なんでスイスポがここにいるの?あの霧の中で一体何が起きたの?
いいえ、考えても仕方ありませんわ、ここは絶対に譲りませんわ!)
山岡は冷静に状況を見ていた
(この位置はかなり不利だな、一旦下がるか?いや、下がったら絶対に追いつけない!覚悟を決めるか!)
コーナー直前
麗華と山岡は同じタイミングでブレーキを踏み、コーナーに備える
グググゥッー!!
しかし、速多はまだブレーキを踏まず
トップスピードでコーナーに突っ込んでいく!
麗華「うそ!オーバースピードよ!曲がれるわけ
ありませんわ!」
山岡「速多!死にたいのか!」
実況「あぁっと!速多選手!明らか
なオーバースピードです!
マシントラブルでしょうか!このままでは外壁に
突っ込んでしまうぞ!」
観客達は次に起こる悲惨な光景を予想して、思わず目を背ける
しかし次の瞬間驚きの光景が広がる
凛「速多!!今よ!」
速多「はい!!」
スイスポは、フルブレーキをして体勢を横に向け
ものすごい音を出し、タイヤから白煙を上げながら、スピードを維持して曲がっていく!
グググッ!!
ギュルルル!!
コーナー出口で体勢を立て直しそのまま駆け抜けてった!
ヴオォォーン!!
麗華と山岡は愕然とする
麗華(うそ、、なにあれ、、まさかドリフト?
ありえませんわ!FFでドリフトなんて聞いたことも
見たこともありませんわ!あの走りは一体?)
山岡(嘘だろ、なんだ?あの走りは?
あんな速度であんな芸当を披露して、
速多と凛さんは、正気か?)
実況は大興奮
実況「なんということでしょう!!信じられません!スイスポが2台をドリフトしてオーバーテイク
していきました!FFでドリフトは考えられません!
速多選手は何者なんだ!それに!同乗している凛選手も肝が据わりすぎています!普通の神経なら
許可しません!私達は今!歴史的な場面を
目撃したかも知れません!!」
凛「まったく!肝が冷えたわ!いつの間にそんな芸当を身に着けたのかしら?」
速多「練習したんです!凛さんにおんぶに抱っこじゃ申し訳ないので!」
凛(まったく、ほんとにアンタって奴は)
その後も難なくコースを走り見事5位でゴールする速多
実況「速多選手!初の大舞台で見事に5位で
ゴールしました!
栄光の表彰台に上がることができます!!」
速多「やりましたね!凛さん!」
凛「えぇ、」
(もう私は必要ないわね、コイツなら一人でもやっていけるわ)
速多「ん?どうしました?」
凛「なんでもないわ」
速多は狂気のダウンヒルで見事5位に輝くのだった




