第11話 信濃家の談笑と速多の特訓
レースまで残り1週間を切ったある日
信濃家の食卓ではいつもと変わらない風景が広がっていた
信濃「さてさて、ビールでも飲みますかね」
凛「父さん!それ何本目?」
信濃「あぁ?まだ3本目だが?」
凛「飲みすぎよ!明日も仕事でしょ!?
起きれなくなっても知らないわよ!」
信濃「はいはい、わかったわかった、全く
ほんと口うるさいところは母さんそっくりだな」
信濃がそうぼやいた時、奥の部屋からツリ目の凛によく似た女性が静かに、そして威圧的に出てくる
???「誰が口うるさいって?」
信濃「げ、母さん、聞いてたのか?」
彼女は、信濃の妻で凛の母親の椿
普段は気立てが良いが、怒ったらこの世の者とは思えないほど恐ろしい
椿「まったく、私も好きでうるさく
言ってるわけじゃないの、アンタがいつも言う事
聞かないからでしょ?」
信濃「へいへい、すいませんでした」
椿「まぁ良いわ、それよりも凛!あなた、
速多君とはどうなの?あの子かなりのイケメンで
好青年じゃない!もしかして、そっけない態度をとってたりしてないわよね?」
凛「母さん!別にアイツはそういう関係じゃないし
ただナビゲーターをして欲しいって言われたから
仕方なく一緒にいるだけよ!」
椿「そんなこと言ってー!じゃあ、もし速多君が他の女にアタックされているところを見ても、そんな態度を取れるのかしら?」
凛「、、別に?私には関係ないし」
(もし速多が、他の女と一緒にいたらなんて
考えてもみなかった、他の女と一緒にいる速多、、か
何か、嫌だわ)
椿「気持ちは、素直に伝えたほうが良いわよ!そう!母さんが父さんを射止めたみたいにね!ね!アンタ!」
信濃「ハイハイそうですね、」
椿「もう!連れないんだから!」
信濃家は今日も笑顔で溢れていた
その頃
速多は、レースで走るコースと似ている峠を走っていた
速多は悩んでいた
(このまま凛さんにおんぶに抱っこじゃ申し訳ない、
何か自分しか出来ないような武器を見つけないと、)
速多はふと、凛と特訓していた時の言葉を思い出す
『アニメと漫画を現実と一緒にするな!』
(やってみる価値はある!)
速多は、ドリフト走行を練習する
凛が言っていた通り、ある一定の所まで来ると車がスピンしてしまう
どうしたものかと悩んでいると、急に閃く!
(そうか!ハンドルをあまり切らずに、ブレーキとアクセルでコントロールしてみよう!)
速多は、早速試してみる
深夜の峠道に、スイスポのけたたましいスキール音が響く
速多は、何回もチャレンジし、遂にドリフトが出来るようになる
(これだ!この感覚だ!これで誰にも出来ない走りが出来るぞ!)
周りは夜が明け始めていた
速多は、急いで家に帰り眠りにつくのだった
後日、異常にタイヤがすり減っているのを凛が発見し
速多は、コテンパンに怒られてしまうのだった




