グーパンでかき氷を作る男の話
俺は加地宮勝利
名前の割に負け続けている男だ、試合ではな!!
だが人生は案外楽しんでいるので、勝っていると言えると思う!!
『グーパンでかき氷を作る』という頭のおかしなバイトが募集されているのを見て……とりあえずやってみよう!!
そう思い応募したら……応募してるのが俺しかいなかった。
そして受かった。
「これからよろしくお願いします」
「よろしくね勝利くん。んじゃ僕が氷を投げるからタイミングを合わせて殴ってね」
「はい、分かりました!!」
「行くぞ!!」
ポイッ
「はっ!!」
ドン!!
「いいよ、もう一個」
そんなことを七回ほど繰り返した。
氷を壊すことは出来たけど、かき氷と言うには粒が大きすぎる。
俺は店長に聞くと
「これはかき氷だけど目の前で壊すパフォーマンスを売りにしてるから安心して大丈夫だから!!」ということらしいが、全く安心出来ない俺はおかしいのだろうか?
お客さん自体は予想よりは来てくれているのが、救いではある。
それから俺と店長は二年間二人でこの"殴り割り氷"を売っていた。
夏はそれで分かったことがある。
それは夏は結構売れるけどそれ以外は有名配信者が撮影してくれないと絶対儲からないと思うレベルだ。
その時店長がある提案をしてきた。
「なあ勝利くん、この今話題になってるヨシキタ商店さんで"殴り割り氷"をやってみたいからさ頼んでみようと思うんだ。どう思う?」
「それはいい考えだと思います……けど了承してくれますかね?」
「さあ? 頼んで見ないことには」
店長はそういいながら走って行った。
四十九分後
「撮影は今は無理だけどその代わり明後日から一か月の間バイトの子を一人派遣してくれるって!!」
「それだけでもだいぶありかたいですね。いつも一人入っては一カ月も持たずやめるばかりで人手が足りませんでしたもんね」
そして二日後
「おはようございます。あなたが岸田店長ですね。そっちが……バイトくんの……誰?」
「加地宮勝利です」
「加地宮辻勝利ってなんかすっごい勝ちそうな名前だね、一緒エフェクエしない? 勝てないステージがあってさ、勝利くんの名前パワーでなんとかなりそうだし」
「……その、エフェクエ? ってものやったことないから教えてもらえたらありがたいんですけど……そのお名前は?」
「私は吉田茜だよ。趣味はエフェクエ毎日プレイしてるよ〜」
「……二人とも今はゲームはしないでもらえる? 氷使うから壊れちゃうかもしれないよ」
「分かりました岸田店長……また後で遊ぼっか勝利くん」
「そうしましょうか茜さん」
華奢な身体からは想像もできなかったけど茜さんは殴り割り氷を作る天才だった。
お客さんからも評判がよく……毎日来てほしいと、そう心の底から思う。
「あの、茜さん……エフェクエを教えてもらってもいいですか?」
「いいよ〜あっ、それとこれ連絡先ね。困ったことがあったら連絡してね、特にエフェクエのことなら大歓迎だよ」
「ありがとうございます」
俺は茜さんにエフェクエというゲームを教えてもらい毎日のように仕事終わりに一緒に遊んでいる。
そして茜さんの派遣最終日
「吉田さん、この一か月間ありがとう。お客さんからも人気でしたよ"茜パンチ"出来たらまたお願いって向こうの店長さんにも伝えといて」
「こちらこそありがとうございました。分かりました岸田店長。伝えておきます。ねえ勝利くん、明日からもやろっ!! オンラインプレイでさ」
「いいですよ!! 俺も昨日よりだいぶ強くなってるんで……期待してくださいよ!!」
「……二人とも仲良くていいねぇ、今日もよろしく、さっ頑張って行きましょう!!」
俺と茜さんはエフェクエ友達として毎日遊んでいる。
本当茜さんを派遣してくれたヨシキタ商店の店長さんに感謝しないと。
おしまい
見つけて読んでいただきありがとうございます!!
久しぶりにかき氷を食べて思いつきました




