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05


 ナクレイスさんの固有スキル『カップリング』


 能力は、そのものズバリ、カップルの相性判断。



 故郷にいた頃は友人・知人へのアドバイスのためにこっそり使っていたけど、


 まあ、男女間のアレコレには正論も固有スキルも歯が立たず、


 みたいな展開に巻き込まれることが多過ぎて、ずっと封印していた能力。



 雇われる際、ご主人様にも内緒にしたけれど、


 どうしても必要な時があればとメイド長さんだけに伝えていた能力、


 使うなら、今。




 結果は、真っ黒クロスケもいいとこ。


 相性最悪どころか、男性側がこれ以上無いほどの不幸に見舞われるという、


 これまでに視たことの無いようなヤバい判定が確定。




 ナクレイスさんとメイド長さん、自らの進退を懸けてご主人様を説得。


 ふたりの真剣な進言を、ご主人様もしっかりと受け止めてくれました。


 今まで決して私事には利用しなかった国の調査機関に極秘で調査を依頼。



 もし何事も無かったら、誰も傷付かない道筋に進むよう努力せねばという、


 ご主人様なりの覚悟。



 結果はストライク、ってかアウト。



 あの娘さんも、身元を保障した同郷の商人も、


 下宿先の老夫婦も、故郷から送られてきた安否を気遣う便りも、


 一から十まで全部が全部、真っ赤っかなニセモノ。



 ニルシェ王都の最有力貴族であるご主人様をピンポイントで狙って、


 ニルシェ王国内の実力派詐欺師たちが手を組み綿密に練り上げた、


 悪党たち渾身の一世一代大仕事。



 ってか、結婚詐欺。




 ---




 その後、悪党一味は全員お縄に。



 事の経緯の全てを知ったご主人様、ナクレイスさんに本気の感謝。


 お貴族さま界隈で今回の一件をナクレイスさんの武勇伝として広めちゃうほど。



 いかにナクレイスさんが主人思いであるかを、熱弁。


 その能力の凄さも含めて。




 おりしもニルシェ王都は自由恋愛、華盛り。


 もちろんお貴族さまには貴族独自のルールがある。


 政略結婚やらお家のための何ちゃらやら。



 でもこれは恋愛関係。


 お貴族さまのお歳頃なご子息・ご息女たちは、


 貴族ルールよりも自由恋愛ってな風潮。



 結局、問題大発生。


 ナクレイスさんの能力を利用したい連中が、湧きまくり。




 過去の苦い経験から、恋愛脳には決して関わるべからずと、


 心に決めていたナクレイスさん。



 ある意味、恋愛成就とは最も縁遠いこの能力、必ずや揉め事の元に。


 でも一介のメイドでは、お貴族さまたちの依頼からは逃れられない。



 せめてご主人様にご迷惑をおかけする前にと、


 覚悟を決めたナクレイスさん、一筆残して雲隠れ。




 ---




 逃亡生活で大事なことは、


 見つからないための居場所探しと、それなりに安定した生活基盤の確保。



 隠遁場所は、いろいろあって王都民の間では禁忌とされてきた王都の地下水路。


 蓄えは、これまで真面目に勤め上げてきた分のみだけど、それなりに潤沢。


 地下での生活は、本職の家事能力と自慢の生活魔法を活かせば、割と平気。




 こうして孤独な隠遁生活を始めたナクレイスさん。


『カップリング』を応用した自己流の対人危機管理能力で、


 これまでは厄介ごとを避けながら暮らせてきた。



 けれど、優しさが厄介者を呼び寄せることもあるのです。



 俺、参上。



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