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04


 甲斐甲斐しくお世話してくれるナクレイスさん。


 メイド服姿もお似合いの、たおやか感満開な癒し系お姉さま、なのです。



 でも、見た目で判断しちゃ駄目。


 ブっ倒れていた俺をここまで運べるほどの力持ちさんなのですよ。


 この地下水路でのひとり暮らしだそうですが、


 少なくとも俺より強いこと、間違い無し。



 それはそれとして、


 美味しいお茶をいただきながら、お互い自己紹介。




 ---




 故郷を離れ、ニルシェ王都でメイドとして働いているナクレイスさん。


 ご主人様も、共にお屋敷で働く皆さんも、本当に良い人たちばかり。


 困ったイベントごととは全く無縁の平穏な毎日だったのに、


 生活が一変したのは、つい最近のこと。



 ニルシェ王都で働いている魔族領内各国代表の皆さん、


 その調整役を務めているニルシェ王国評議会の若き重鎮が、


 ナクレイスさんのご主人様。


 いわゆるお貴族さま。



 真面目で人柄も良い仕事の出来るイケメン。


 本人の実力も周囲の評価も並ぶ者無しのハイスペック貴族様。


 私生活ではお屋敷の使用人にも優しく接してくれる人格者。


 どんな人とも程良い距離感を大切にしてくれる、本当に素晴らしいご主人様。



 そんなご主人様は、未だ独身。


 ちょっと不躾な言い方ですが、いわゆる超優良物件。


 もちろん引くてあまたの引っ張りだこ。


 国内のみならず国外からも、ぜひうちの娘を、という声がひっきりなし。



 当のご本人は、その手の話しは全て華麗にスルー。


 お断りの際の振る舞いも真摯に紳士。



 お屋敷のメイドさんたちは、ただただやきもきするばかり。


 噂話しに華を咲かせ過ぎて、恐いメイド長さんから叱られるほど。

 



 そんな文字通りの独身貴族なご主人様に、ようやく春が訪れました。


 お相手は、魔族の娘さん。


 名家のご出身、とかでは無く、一般の方。



 生まれはニルシェ王国ですが、


 ニルシェ王都から遠く離れた小村が故郷。


 いろいろあって天涯孤独となり、


 心機一転、職を求めて王都に来たばかり。



 物書き志望の文学乙女、


 事務仕事を探す傍ら、図書館と本屋さん巡り。


 とある日、とある古書店で、同じ本を探していた紳士とばったり。



 それが、ご主人様と娘さんの出会い。


 それから何度も逢瀬を重ねるふたり、


 いえ、お茶とかお食事とかの、健全なお付き合い。


 そうこうしてるうちに、お互いが運命を感じちゃったそうで。



 えーと、何すかね、


 俺なんかが聞くと背中がムズムズしちゃうような、出来過ぎた話しなのですが。




 当のご主人様、一途に一直線。


 突然のリアル玉の輿ちっくラブストーリーに、


 お屋敷のメイドさんたち、大はしゃぎ。



 唯一難色を示したのが、先代様から勤め上げてきたメイド長さん。


 そしてナクレイスさんに、こっそりと相談。



 あの娘さん、人柄も経歴も非の打ちどころ無し。


 ただ、あまりにも隙が無さすぎます……




 実は、メイド長さんがこっそりナクレイスさんに相談したのは、理由あり。


 ナクレイスさんがメイド長さんだけに打ち明けていた、


 秘密の能力。



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