第三十三話 君の言葉だから。
見つけられないから。
雷斗side(31~40話まで)
「へー。流架ってそんなこと出来るんだ。」
俺は、朔の言った言葉に素直に驚いた。
「まあな。昔習ったから。」
流架がさらりと会話に入り込んで言った。
「すごいな。」
俺は、素直に褒める。
「そうでもないよ。」
流架からは、なにか考えているようだった。
でも、聞いてほしくなさそうな顔。
こいつはほったらかしにしていいだろう。
どうせ、《《あの》》家のこと。
俺が口を挟めるわけがない。
「そうか?まあ、海里が待っているから行ってくるな。」
そう言って俺は、更衣室のドアを開けた。
「雷斗~、かっこいいよ~。」
そんな流架の冷やかしは無視して、海里を探そうとした。
「ら~いくんっ。」
「うっわ、びびったぁ。」
海里が俺が更衣室のドアを閉めた瞬間に後ろから脅かしてきた。
「へへ。大成功だぁ!」
俺を脅かしたかったのか、海里はニコニコ笑う。
俺は海里に呆れたような表情を見せながらも、海里の頭を撫でる。
「良かったな。それで、俺も着替えたんだけど、どう?」
俺は海里の反応を待つ。
海里は少し戸惑った上目遣いをする。
「らいくん、“かっこいい”よ。」
首を傾けて恥ずかしそうに海里が言う。
俺は、聞きたかった言葉を聞けて、満足した。
「やった。海里に言われるのが一番嬉しいな。」
そんな俺の嬉しさを精一杯表した言葉に、海里は拗ねたような顔になった。
「らいくん、僕以外にも“かっこいい”って言われたの?」
「えっ、まあ、さっき流架にからかわれて...。」
「ふ~ん。」
海里がほっぺを膨らまして、おもいっきり拗ねる。
そんな海里のほっぺをツンツンしながら俺は、聞いた。
「海里、妬いてるのか?」
自惚れだったら嫌だけど、海里が流架に妬いてるのか?
だとしたら、めっちゃ嬉しい。
「わ、悪い?」
海里は、真っ赤になって俺の胸に顔を埋める。
「別に?というか、海里に焼きもち妬かれるの、嬉しいし。」
そんな俺の言葉に海里の耳がもっと赤く染まってくるのが分かる。
「ほんとに?」
海里がうるうるとした瞳で、俺の服を強く掴む。
「ああ。」
俺は、海里に優しく微笑む。
「ん。」
海里が目をそらして、小さく言う。
海里にしては珍しく照れていて、本当に妬いてくれていたのが伝わる。
逆に俺は、海里の服装に男たちがまとわりつくことを心配しているんだけどな。
海里は、そんな俺の心までは見透かせないのか、俺の手を海里の腰に近づけるように、引っ張っていく。
海里、誘ってる?
決して、エロいことは考えていないです。
俺の顔が暑くなった。




