第十八話 朔side 依存みたいだから。
最後だから。
「朔。お前は何で雷斗と偽恋人なんてやっているんだよ。」
席に座ったとき、後ろから快凪に話しかけられた。
「...使えそうだと思ったから、かな。」
「雷斗じゃなきゃダメなのか?」
「別にそういう訳じゃない。でも、条件が合うのが雷斗だっただけ。」
「そう、なのか。」
そう言って快凪は自分の席に戻って行った。
快凪は何かあったのかな。
さっき言った条件とは、大体三つ。
相手から俺が使いやすい話を持ちかけてくること。
好きな人が明確に分かること。
俺に興味がなくて、俺のことを邪魔しないこと。
これだけ。
でも、案外これに当てはまる人なんて早々いないし。
俺が使えないものはいらない。
そう思うから、夢中になれるものがなかったのだろう。
ーー
小さい頃から俺は何にも夢中にならなかった。
なれなかったのかも知れない。
でも、みんなが好きなアニメも漫画も何も好きになれなかった。
ちょっと好きだなって思ってもすぐ飽きるし、夢中になることなんて無かったんだ。
藍斗先生と出会うまでは。
先生は本当に天然で、純粋。
それがかわいい。
夢中になった理由なんて分からなかった。
けど、気づいたら好きだったし、藍斗先生に夢中だった。
怖くなることもあった。
突然俺が何もかも嫌いになるかもしれないって。
でも、藍斗先生への愛は本物なのだと俺は思う。
だって、大体一年と半年間。
藍斗先生に一目惚れをして俺の毎日は変わった。
一言で言えば顔が好みなだけだったのかも知れない。
藍斗先生がいなかったら俺はこんなに楽しくなかった。
ある意味“依存”しているのかもしれない。
それでも俺は今を楽しみたい。
この恋は絶対に叶えるから。
いっそ駆け落ちして“教師と生徒”というものをなくしたっていい。
でも、俺はあの腐りきった病院を継がないといけないのだろう。
それが俺の思考を邪魔する。
ーー
今日は雷斗が早退したから、美術部に行くことにする。
俺は絵が上手な訳じゃない。
むしろ下手。
藍斗先生がいるから行くだけ。
生徒会室にいたらそっちに行く。
俺は藍斗先生と話せるように勉強もやる。
問題児でも構わない。
──夢中になっているから。
ーー
「朔。」
「どうしたの? 副部長さん。」
「も~。伯斗って呼んでよ。」
「ごめんって。」
「ん~。それで次の美術館行くか決めた?」
最近よく伯斗が言っていたやつかな。
「あ~。藍斗先生も行くやつ?」
「うん。ん~、なら行こうかな。」
やっぱり、話すときは藍斗先生のことじゃないと俺は続かないから。




