番外編 隠れていたいから。
最後だから。
海里side
僕はあの日、自分をふさいでしまったんだ。
いつもの会話で。
僕が小学五年生のときの会話。
らいくんが覚えているなんて思わなかったから、僕は忘れていた。
─ピーンポーン
「ら~いくんっ、あ~そぼっ。」
いつものようにらいくんの家に誘いに行った。
「なにすんの?」
「う~んとね、公園行こ!」
「いいよ。どこがいい?」
「駅前のとこにしよ!流架くんの家の近くだし、流架くんもいるんじゃない?」
「りょ~かいっ。ちょいと待ってな~。」
「は~い。」
ーー
「ねえ~、次は隠れ鬼がいい~。」
公園にいた友達と流架くんも誘って、鬼ごっこをしていた。
「いいよ~。じゃあ、言い出しっぺの海里が鬼な。」
「やだ~、らいくんがやってよ~。みんな早いから捕まえられないじゃん。」
「え~。俺は何回もやったし~。」
「毎回僕が最初に捕まるじゃん。」
「まあな。捕まえやすいし~。」
「も〜。」
いじけるふりをしながら、ほっぺを膨らました。
「か~わいっ。」
その言葉が嬉しかったけど、周りの友達になんと思われるかが不安になって、つい言ってしまった。
「も~。かわいいじゃなくて、かっこいいがいい~。」
「あっ、わり。」
「え~。海里はかわいいじゃん。」
流架くんの”かわいい“よりもらいくんの“かわいい”の方が嬉しかった。
そんなことを思ったけど、僕の気持ちには気づけなかった。
それから、らいくんは“かわいい”って言わなくなったんだ。
ーー
─日記帳─
8/20 晴れ
らいくんと仲間たちと遊んだ。
らいくんが“かわいい”って言ってくれた。
8/26 くもり
らいくんが“かっこいい”って言ってくれた。
でも、“かわいい”がいいな。
8/31 晴れ
らいくんが“かわいい”って言ってくれなくなった。
明日から学校! 毎日らいくんと遊べる! 楽しみ~。
9/10 雨
らいくんが告白されていた。
断っていたことに安心した。僕と遊べなくなっちゃうし。
ーー
3/14 晴れ
らいくんが一緒に中学受験に誘ってくれた。
塾行かないといけないから、お母さんに相談しないと。
4/4 晴れ
中学受験することに決めた!お母さんの説得、お兄ちゃんが手伝ってくれた!
勉強、らいくんと一緒に頑張るぞ~!
──昔の日記に答えが隠されているなんて、僕は知らなかった。




