1/21
プロローグ
「美優さん、俺と付き合って下さい」
告白の舞台として選んだ中庭は、まるで人気コスプレイヤーの撮影会の様に俺達を囲んでいて、全員が息を飲み、彼女の返事を待っていた。
いつもの放課後のこの場所では絶対に見ることのない景色。
緊張で少し渇いた喉に無理やり唾を飲み込ませる。
俺の心臓が、彼女が答えるまでの時を刻むようにしてドクン、ドクンと存在感を出していた。
「はい。こんな私で良ければ、よろしくお願いします」
目の前に居る彼女、如月美優が微笑む。
これで俺と彼女の関係は恋人となった。
ああ、本当にありがとう。美優。
これからよろしくな。
――――予行練習彼女として。