97〜勇気の一歩〜
嘘吐きは隠したい事程幾重にも……
――KATAKATAKATA――
零が床鍋のメンバーのスマホ経由で侵入したサーバーから既にサーバーの場所を特定していたが、意外にもサーバーの場所自体はさして警戒心は無いように思える程に一般的な場所だった。
それは日本独自の感覚のようにも思え……
平和ボケと言われても尚、肝心なセキュリティを外資に任せるような国防の甘さは
自国に力の無い貧国が資金大国に頼る他に選択の余地が無く導入する外資のセキュリティを、この国では海外のマストと称する理由。
勝機も見せ場も無く負けるだけの外交に、せめて我利の政治献金や利権企業の利益だけは確保しようと国を売った結果に導入。
それを売り飛ばした国内の一般企業に落とし込む為、ワザワザ海外の助言を受けろ! とばかりに外資からの視察と支援を促し、大国の言い分を受け入れた企業には認可や試験クリア等と云い特を持たせる。
そうして日本人の価値を下げ、国際化の波に対応しろ等と唱い、国内企業に英語を常用語とさせ外国人を増やし、企業スパイが入り易い環境を創り出させた事にも気付く事無く……
挙げ句、国防に外資セキュリティと云う自国民を馬鹿にした国策にすら怒る国民も無く……
馬鹿にした者勝ちと云うのが現在の日本。
それ故か、自国民も国内企業もセキュリティへの意識が低く甘い訳だが、床鍋のサーバーの配置にも通ずるとすれば組織のセキュリティ感覚も甘いのでは? と思えていたが……
――KATAKATAKATA――
大泉との行動を終え透子に付いて来る者達が居ない事を確認した零は、通信アプリを監視しつつもサーバー内の何かの動きに気付き、新たなプログラミングに取り組み急いでいた。
通信アプリのメッセージと共に、盗撮された写真、GPSの地図情報に、小林の可能性が高いTKT-F0013や透子や大泉を表すNo.225に関するメッセージの監視と保存を楓香に任せ、スマホを渡していた中。
「あれ? この人確か……」
『…ひほ?…』
部屋にはキーボードを叩く音と通信アプリの作動音だけが響く中、楓香の小言のような話も一応までに確認する零。
「この前透子と行った富士山パスタに居た人」
『…客か? そん位は居るだろ…』
「ううん、さっきの透子の友達と一緒に居た人」
『…ひほ? ああ、巨漢のチャッ…』
「違う」
零の腕が止まる。
キーボードの音も無くなりアプリの作動音のみの静寂は、嫌な陰を纏う。
『…楓香、それも保存!…』
「え? ああ、うん」
何かを思い付いたか理解したのか、突然その写真の情報に何かの価値を見出した零。
楓香には、アプリの操作方法と零が独自に作ったプログラムによる保存方法を教えてあった。
それまでのプログラミングのコマンド操作から、楓香が保存すると零の見るパソコンのモニターに通知と共に反映される。
GUIで通信アプリの管理データ画面を開き、見ればそこには零が見た事が無い顔の整った男。
しかし、その姿は何処か痛々しく身体に何か遭った事を物語る。
「何か、この前より……」
『…ひほぉ、ターゲットにされた被害者だろうからな、何かしら酷い事されてんだろ…』
零がアプリの通常画面に戻すと、次々と新たなメッセージが入っては流れスクロールに消えて行く。
集積されていく情報の中に、またも透子に近い者が含まれていた事を知り。
楓香が持つスマホにもTYM-450TAとNo.1103を監視に追加登録した。
流れ消え行くメッセージがサーバーからも消えて行くのを当然と思うのは、使用者が故か。
しかし、プログラミングをする者からすれば、膨大な量のデータから問題に過去を追跡する事も想定しログを……
そして、その情報を精査し指示する者達が居る事を考えれば、何処かで統率管理に間違いやミスを犯した者の選定にと必要なログ……
それがこうも簡単に月毎消えるとなれば、サーバーから別の何かに溜めては消しを繰り返しているのでは? と、無意味なデジアナ対応であれば勝機も望めるのだが。
当然だがハッキングするような連中が作るプログラムならログは残さないだろう。
が、プログラマーが作ったプログラムなら何処かにログを……
以前、警察が海外の物真似にホワイトハッカーを募集し、メディアを使いネット社会の闇にも対応しているとばかりの宣伝活動に参加者の顔まで晒して試験だの何だのと……
その実、終わってみれば当然のように都合良く犯罪者を持ち上げ警察は組織や法の不備を理由に捕まえようともせず、不備の解消に予算と新たな法整備ばかりを要求しているのはサイバー局の法整備にと現在も尚。
兎角、ハッキングに対応する為の防護に長けた者なら顔を晒したり等、そもそも会場に出向くリスクを背負う時点で……
ましてや、そのホワイトハッカーと云う警察組織の宣伝にメディア向けに目立たせる為と知りつつも、組織の人選に、私利私欲の身内やコネを混ぜていたと知ればこそ……
それを推してでもそこに入り込んだモグラ共の作ったセキュリティホールの数々を知り考えてみれば、床鍋の作ったこのプログラムにもログが何処かに……
『…ひほぉぉ…』
No.1103の情報を遡っていた零は可笑しな事実に突き当たる。
他とは違う指示系統とその多さに組織内にも違和感を覚えた様子が覗える。
そして、TM-537TUが狙うNo.5939が同じターゲットと気付き、確認を始めた……
――KATAKATAKATA――
大泉も家路に着き楓香の監視上にはやたらと報告が増える中、時を遡る事にNo.1103とNo.5939という同じターゲットを別物として指示系統も別な理由を理解して、悪い笑顔を見せた零。
『…ひーほー!…』
元々良い笑顔を見せられるとは思えないが、明らかに何かを秘めた思い付きに目を輝かせ始めた零の口元は、妙に綿が寄りいやらしい笑みを浮かべているようにしか見えない。
嫌な予感に引く楓香。
『…楓香! 当たりだぜ…』
「ふむぅ……当たった」
楓香は嫌な予感が当たった事に残念な顔を向けると、零は目を見開き口は笑い如何にもサイコホラーに出て来そうな人形らしい笑顔を向け、これからする何かを示唆していた。
『…ひほほほほほほ…』
「ぅぇぇぇ……」
やる気無く言い訳するは子と同位……




