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07〜出会いと別れ〜

 挿し絵、その内チャレンジしようと思ってます……が、一枚書くのでひぃこらするのは目に見えているので表紙絵=挿し絵の一枚だけ、しかもその内に……という予定の予約しておきます。


「と、取れるって何よ?」


 と、問われ返答に苦悩しているのか、もじもじする腸女に五秒毎に苛々が募る……

 先に飯を与えたのは間違いだったかもしれないと、自らの行動の過ちにも言及し始めた頃合いだった。




「ぁ、出来た!」



 と、腸女のマヌケな声と同時に透子は左肩をポンッ! と誰かに叩かれた様な感覚に振り返ると、シャツの中を何かが這うように落ちて行き、昨日まで無くなっていたくびれにそれが(とど)まり忘れていた新鮮なくすぐったさが襲う。


 シャツをめくり振り払うと、ひらひらと舞い落ちる羽が姿を現した。



「は? え? え、何? 何なのよこれ?」



 純白の天使の羽根と黒が基調で縁に裏地の濃ピンクを覗かせる悪魔の羽が丸い白黒の球体の根元にくっ付いた、全長十五センチ程のキーホルダーみたいなそれは、閃光に赤みを帯びた夕闇の稲光の様な光を纏っていた。




 ※注【この物語の表紙ともいえる唯一の挿絵を…その内ここに】




「ぃ、ぃゃこれ……ぁ(あや)し過ぎるわっ! 何なのよこれ?」



 振り返ると腸女は自身の肩から落ちた羽根の中心部を指で摘んで拾い上げ、鏡の前に立ち髪飾り風に合わせて見ながら、急に何かに目覚め女子高生的なノリになった。



「えぇぇ、これ結構可愛くないですかぁあ?」


 ピクッ#

 透子の眉がひくつくが腸女はお構いなし、けれども安堵の方が大きい。


〈とりあえず触っても大丈夫そう……よね、多分……〉


恐る恐る硬そうな悪魔っぽい方の羽を指で摘んで持ち上げる。


「ふヒっ! あ、ソコは! 駄目」


 腸女の声に元々怪しんで(つま)んでいた透子は躊躇なくポイッと離し、羽根がまた舞い落ちる間に三歩下がった壁際で目を光らせ警戒心全開中。



「あまり落とさないでょ! 羽根が堕天しちゃう。ここを持っておけば大丈夫なんだから大事に扱ってよね!」


 球体を掴み透子の元へ持って行くが、透子はゴキブリを見る様に右の(てのひら)を突き出し


「ノー! No! ノーゥ!」


 まるで何かの審判か似非外人張りに顔を大きく左右に振り受け取り拒否の姿勢を崩さない。腸女が困ってちょっと離れてスネたのか呟きだした。



「……こんな可愛いのに……ねぇ……」


 と、茶目った姿を見て少し落ち着いたのか透子は確認してみた。



「だぁーもう、だから何なのよソレ!」



 振り返った腸女が少し下を向き考えていたが、スッと立ち上がりまた別人の様に説明を始めた。




「ええぇ…これは、デブる! といって、この天使の羽根の方を掴むと周囲にいる生物の聖なる心をくすぶって、あなたの事を聖なる光を纏う天使に見せて(あが)めさせる事が出来るんです。

 で、もう一方の悪魔の羽を掴むと周囲の生物が持つ悪い性根を読み取って恐れを増幅し、あなたを恐れの対象に見せ恐怖に(おとし)崇拝(すうはい)させる事が出来るんです。

 凄いでしょ!」



「…………」



「凄いでしょ?」


「…………」


「ねぇ、ちょっとぉ聞いてるんですけどぉお」


「……、ぃゃ、その……ぇ、待って……」


「はぁあい? 何を待つのか意味分かんなぁあい」


 カチンっ#

「おぃ、何調子こいてんだ! コッチはお前のせいで……〈ん? 確か……コレ〉」


 透子はスッと腸女に詰め寄り腸女が持っている自分の悪魔の羽を握った。


「ふヒっ!」


 瞬間的に(おのの)いた。が、スグに平常心を取り戻し逆切れモード全開になった。


「ちょっとぉお、ヤメてよね。急にヤられたらビックリするんだから! というか私も同じデブるーなんだから効く訳ないでしょ! もうこれだから素人は……」


「……は?」


「えっ! 何? あ! あれ? ええと、まだ文句あん……」


 透子は既に悪魔の羽は離しているが、効かないハズの腸女の眼には(まさ)しく恐れの象徴が背後に熱い怒りの炎を(まと)わせて睨みつけ激しい鼻息遣いで拳を握りだしていた。



「ぅ……ぁぁ、これがあの……牛魔王」



「んモぉぉぉおおっ!!」

――GOTTUUNN!!――




 初めての痛みを感じた腸女は頭にコブが出来るだろう見事なゲンコツを喰らい涙と鼻水が飛び出し痛みにひれ伏せていた。


「何が素人だ!あんま調子こいてんなょ、コッチは未だ訳の解らん状況にパニック寸での所で何とか持ち(こた)えてんだから、優しく丁寧に説明しなさいよね!」


 衝撃で涙が零れ落ちた腸女が、自分の涙を見つめ反省している様に見えた。


「で、あんたコレ誰に何の為に使う気なのよ?」


 そう聞きながら自分のデブるの球体を持ち拾い上げ、怪訝(けげん)そうに片目で凝視する透子の質問にピクッと反応したが、腸女の気不味さを負いた様な惚け方に何かを隠しているのは判ったのにフッと追々(おいおい)解る様な気がして今追求するのはやめておいた。


 とはいえ今さっき調子にのって私に追求しまくった輩が返事も無しに質問した私を放置しているのはやはり解せない。



「んでぇ???」


 と、振り返った透子は目の前の光景に口が閉まらなかった。




 今まさに腸女が両羽を掴み球体部分に指を突っ込み穴を開け、更に私のネックレスを通して首にかけ、キャッキャうふふ状態で鏡の前でハシャイでいた。



「…………ぇええ、穴、開け……た……」


 

 アソコに入れるつもりです。(笑)

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