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27〜戦場の選択〜

 本日は……日曜大工日和?



「で、そのDIY工具は何処から持ってきたのよ?」


――GUTTARI――


『…ゃっ「隣の部屋との間の元壁裏に工具一式置きっぱなしだったから」と…』

「あぁ、なるほどね……」


『…っまり、〈て、待って、だとすると〉具ょり大…』


 昨日アイツ等は公園で三つのバッグをバンに載せていた、なのにお高い工具一式を置きっぱなしで取りに戻るでも無くスーツの男が一人部屋を外から監視していただけ。

 そして、載せたバッグの内一つは楓香(本人)だった。つまり……



〈……ぃゃ待って。アレが在ればまた別に……〉


「空のバッ『…グが無ぇって事は…』え?」

『…?……おい、テメェ!まさか聞いて無かったのか?…』


「……え?」

『…糞豚が!聞いとけ!…』


 空のバッグが無い事、それは工具一式よりも大切なものが有ったからこそ、優先して入れて持ち去った事になる。

 恐らくは人だ!

 ターゲットが楓香なら三つのバッグの内一つは工具、もう一つにアノ男が楓香(本人)に向けていた兵器の核心部か何かが入っていて最後の一つが楓香を入れて持ち去るか死体袋予定だった。


 ところが、予定外の男が居た。


 仕方なく壁の間にパテで埋めるでもして隠そうとしたが、壁は薄くバールで板を外したら則隣の部屋で、顔を見られて口封じしようとしたら透子のデブる。


 で、慌てて一つのバッグを使う事になる。

 必然的に出して使っていた工具一式は入り切らなくなった、余裕があればどれかに詰めたかもしれないが、透子のデブるによって慌てて持ち去る事になり置いていく他に無くなった。



『…と考えれば…』

「微妙ね」

『…あぁ…』

「何が?」


「外の血痕は間隔が広かったけど、バッグに入れた直後だと考えると……」

『…虫の息でもバンで持ち去ったんだ、血痕が付くリスクを取って! あの時間にスーツが部屋を覗いてたんだぜ山に埋める時間は無ぇ…』

「そうね」

「……あぁ、彼氏。」



 何らかの傷による出血は確実だが致命傷なのかは判らない、しかしバッグに入れた直後で血が垂れるというのはかなりの出血を意味する。よほど質の悪いバッグでなければ持って数時間程と思えるが……


 公園の血痕は土に染み込み如何程なのかも見当がつかなかった。それにスーツが運転して行った確証も無い、置きっぱなしの工具一式で判ったのは他の何かを入れて二人がバッグに入れられ持ち去られた事だけだ。



「とりあえず工具一式は戦利品って事で! 楓香それ使い倒していいわよ」


 瞬間、楓香が何を作るかと考え頷くよりも先に、零がニヤけたように思えて気になった。


「あと、零の家はここまでよ」

『…な、…』


「当たり前でしょ! 家賃払ってんの私よ! それにこれから楓香の分の食費も光熱費も掛かるんだから」

『……』



「それにあんた私のパソコンで随分と儲けてるみたいじゃない?」



 やはりそう、これだ零の様子が明らかに動揺している。最初は楓香の作った物に目が行って気付かなかったがクローゼットに隠されていた零の持ち物は明らかに度を超えていた。


 スマホにテレビとあれ等は金がないと買えない上にスマホのネット環境は? そして先程のピザで使ったカードだ。偽造? いや偽の身分証を持っているに違いなかった。何故なら透子はノーカード!


 そうカードの使い方も良くは解っていない、だからさっきのもカードも名前が何処に書いてあったのかすらもよく見ていなかった。カードはまだ玄関だ……


〈気付かれないように先回りして〉

「このカードって零の?」

「馬鹿、」


――SUTATATATATATAH――


『…でかしたぜ楓香…』


 零の弱み、もしくは正体や本名があったかもしれなかったカードが、それがあれば光熱費や家賃も払わせる事が出来たかもしれない。

 しかし楓香の好奇心か親切心かを攻める事は出来ない。


〈悔しいけど、せめて交渉位はしないとだわ〉

「零って本当は不破(とおる)って言うの?」

「へっ?」

『…な、…』

「ん?」


――SUTATATATATATAH――



 よほど恥ずかしかったのかクローゼットの戸を閉め奥に逃げ込みそれから暫く顔を見せなくなった零にかける言葉が見つからず冷めてしまったピザの箱をそっとクローゼットに置き、申し訳なく出かける準備をした。


 (のち)にカードを発行する際に住所の問題で面倒だからと透子の兄的な名前にしようと不破(とおる)としたのだと聞いたが、その時も見ているこちらが恥ずかしくなる程の様子だった。



――UUUUUUUUUUUUUUUUH――


「じゃ、行ってくるね……徹」


 透子の中でもらい事故的ではあるが申し訳無さが押し寄せる中、フォローしてみようと言ってみたが、明らかに(えぐ)ったと気付き余計な事はするものではないと教えられた気がした。


 しかし、楓香を連れ富士山パスタの仲間の元へ、楓香に人生を創りだそうとしている今、幸先の……後味の悪い船出に不安を抱きつつも開き直り楓香に幸あれと外に出た。



――UOOOOOHH――


『…僕は徹、君のお兄ちゃんだ! ひーほー……って、言えるか糞っ…』


 

 果たして透子達の推理の行方は……


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