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23〜戦場の選択〜

 ここから登場しますよ。色々と


『…ひーほー…こいつぁ器用貧乏確定だぜ…』



 楓香に出来そうな事を探す中、向き不向きはハッキリとして来たが透子のイメージで出来そうな事が変わるものもある。

 イメージだけでは補えない知識が必要な言語や算出方法に関しても、裁縫で見せた様に透子の勉強次第でとてつもない能力を発揮する。


 一方でイメージがあっても顧客対応に関して言えば、全ての客の様々な対応を全てマニュアル化して覚える必要がある。技術的な事も同じだが技術に関しては職人技も今やデータ化されている。


 それでも不向きとする理由は群を抜く向上率だ。対応能力があり過ぎるが故に圧倒的な整腸…成長しすぎると当然目立つ。



【器用貧乏】

 それはこの国においては残念な事だが出る杭にあたり、足を引っ張るだけの陰湿な輩共にターゲットにされる可能性が高くなる。まして組織に狙われる可能性がある現状においてはデメリットでしかない。


 楓香には加減が制御出来ない。壊れる壊れないの加減は出来ても、向上における加減の制御が出来ない、これは致命的だ。

 そしてこの容姿、透子の理想像とはいえ突出した能力一つであっと言う間に実力で人気となり有名になってしまう。


 楓香が救出された時に楓香の居場所は無くなる。楓香の為には楓香の居場所を楓香とは別の楓香として確保して置く必要があるが、(さら)った奴等に対しては楓香を楓香としている事を見せなくてはならない。相当に……




「厄介ね」



 それが救いだった。本来であれば本当に厄介な話だが、自分の居場所を別に置く事に楓香が理解を示しているのだから言う程に厄介では無い。


 しかし楓香が救出されれば楓香の名前は使えなくなる可能性が高い。楓香がこの先もこの国で生活するには別の居場所を確保して置く事が重要であり透子からの課題だった。


『…ぉおおぉぅ!俺の女になっちまえば、その辺どうにでも出来るぜ…』

「あぁぁ、それね」

『…ひほっ…』






 足取りを追えなくなり大通りで橋まで戻って来た透子は迷っていた。勿論帰り道の事では無く、寄り道するか否かを。


〈今の内に会って説明しとく方が安全よね。後で偶然遭って自分だと判明なんて、ソレこそ最悪だわ。とはいえ……〉


 そのまま線路に並行した通りを行けば帰れるが、迷っている行き先は家の手前に在るので川沿いの道では遠回りになる。

 走りながら行くか否かを考える事にして線路に並行した道を進んだが、多少広い道路とはいえ駅前や店があるので気を抜けず、考えるどころでは無かった。




新重(あらしげ)


――PINPOOONN――


「……あの、どちら様ですか?」

「あなたのヒーロー透子です!」

「…………殺されますよ」

「ぃゃ、その透子だよ……あ、ほらコレ!」



――KATYA!――


「ぇええええっ!? マジか? マジでファットか? 本当にファットがフィットしてんじゃん……」

「……トーシンか……亜子コレも入れて良い?」

「お、おう? あ、コレ例の折り畳みか! 良いよ、とりあえずアガれ」



 これで後はダイエットが成功したと信じて貰えれば、この先の厄介事にも対応出来る可能性があがる……


 何せ透子の体重増加を見守って来た同級生だ。遊びや買い物やと行動を共にしていたせいで亜子はデブでは無いが肉付きが良くなり……

 高校時代にはあだ名通りの二重顎になっていた。その亜子が私のダイエットを信じればこれ以上ない証人だ。


「昨日また二人で八合目に挑戦しに来てたんだけど、『ファットがフィットになったから負けられねぇ!』って言いながら突っ伏してたから何かと思えば……」


「ぃゃ、ダイエットが」

「最近来て無いから心配してたんだけど、まさかこんなに……友達なんだから頼れよ!」

「…………ん?」


「何? 一週間ウチのパスタ食わないだけでそれ? 私も賄い食べるのやめてみようかなぁ……」

「あたしゃどんな身体じゃい! ダイエットだっての!」




――NANNDATO――



「帰れ!」

「ん?」

「回食同盟を忘れたのか?」

「あ、〈ヤバ〉」


「常に口には食べ物を! 胃には優しく良く噛んで! 出す物出して回転率を!」


「ぃゃ違う、ダイエット状態、所謂(いわゆる)糖質ダイエットになっちゃったのよ……〈苦しいか?〉」

「ああ、ナルっ!」


〈え、信じるの? 信じて欲しいけど、マジか。まぁ良いや〉

「あと、友達が出来てさ! 一緒にダイエット……状態になった子なんだけど今夜店に連れてくから樹海よろしくね」


「……友達? ファットに? 歓迎するわよ。当たり前でしょ! 何? 同盟? ひょっとして、あの男二人に対してペア組んだって事? タッグマッチ? 二人で頂上行こうっての? それ良いじゃん!」



「〈ヤバい!スイッチ入った〉……じゃ、そうゆう事で……」

「うん、待ってるからねぇ。ひょっとして……その自転車で更に腹を空かせて……」




 逃げるようにアパートを後にした透子は思っていた以上の効果に。

〈私の認識って、この八合目の旗印だけで何とでもなるんじゃ? これで海外に行けたりしないかなぁ……〉


 本当は亜子の家で昼を食べて戻るつもりだった透子はイートインスペースのある良く行く隣町のスーパーに向かって走り出した。




――PUSUPUSSU!!――



『…ひっほっ、楓香様、ヤメ、抜いて、駄目、それは、無し無し、あ、イク、抜かないで、もう、ダメ、逝ってしまう…』


 楓香が裁縫で零のボディを足や手やを縫いとめていた。


「私にエッチな話をしたら()れって透子からの助言だから……」


 楓香はやはり加減が制御出来ないのであった。


『…あ、の豚女…。あ、嘘、解った解ったから、もうヤメて…せめてその、(ほど)くのはヤメて! ソレ本当に逝ってしまう気がする…』


 

 新章〜戦場の選択〜

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