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15〜変化の決意〜

 忘れられたデブる、さした活躍のないままに……あ、別に私が忘れていた訳では無いですよ。ぃゃ、本当に。

 まだまだ色々と伏線を忍ばせ……否、ばら撒きすぎてて回収が……。

なんて、大丈夫、多分、きっと……応援して! 頑張るから。


 さぁ、ここから色々出て来ますよ。



(あっぶ)なぁ…………」


 楓香が透子のデブるを残念そうな顔でハイエナの様に遠巻きに覗いている。

 このままにしておいたら確実にあの造形美(グロい)穴が開く。正に穴が開く程に覗かれている。


 とはいえあの球体を掴んでいるのは大変で現実的では無いのも確か、何かに入れれば間違って掴んでしまいそうで(のち)に問題になりそうな気がする。

 ネックレスかブレスレットかにしてしまうのが正解なのだろう……

 が、加工となればあの造形美(グロい)穴……



〈ん? 加工……〉



「あの、その球体の部分って何かでおおってても平気?」

「え? うん、平気じゃない!? 復活したし」



〈……そうだったぁああ。あの状態から復活してたわ! というかコイツに確認しても何の確証も無いんだったわ……どうする? でも、私にはそれしか……〉



「あぁ、もう! お願い。この球体をアンタの裁縫技術でビーズに包んでブレスレットにして!」


 楓香の顔が一点を見つめ固まった。何かを想像している様な……


〈あ、これ、イメージしてるっぽい! イケる……んじゃないの!? 多分……〉


 透子の淡い期待が時を積んだ(のち)、楓香が口を(ひら)く。



「あの、どうやって?」


 無かった……イメージ。見事なコケをみせる透子だが、開き直りも閃きも早かった。



〈ぃゃ、まてよ……イメージは無くてもイメージは有るんじゃ? うん、だとしたらイメージを作って渡せばイメージで作る事が……〉



 何かブツブツ言っている透子を楓香が怪訝(けげん)そうに見ていると、突然思いついたようにテーブルに向かい何かしだした。

 そして更に何かを思い出した様に服を脱ぎ丁寧にたたむと差し出して来た。


「この服のお直し、お願いします」


 そう言ってまたテーブルに戻り何かをしだしたが、楓香は返事をする事も無く、拒否権を行使する事も出来ないままの依頼に対して図々しさと同時に信頼関係を感じて許諾する事にして破れた箇所を確認し修繕方法を模索していた。

 そうして二人は黙ったままお互いの作業に没頭していた。



『…俺の身体は布製だぜ…』

――SHURUH! SUTATATATATATAH――



 一時間後、透子の声が響く。


「出来たぁああっ!」


 透子が振り返り顔を合わせると、先ずはコレを着ろと楓香が差し出した服を着てみて透子はスグに気が付いた。


〈あ、増えてる。コレって……〉

「あんた解ってるじゃない! 流石ね。ありがと。バッチリよ!」


「いぃえ、どう致しまして。破れた所にポケット付けて隠しただけだけどね」


「それが機能美ってやつなのよ」

「そおなんだ……〈それがセンスの無さ! って解った〉で、透子は何をしてたの?」


「ふふ、コレよ」


 透子が差し出した一枚の絵は、デブるの球体をビーズで包むブレスレットのイメージ図だった。しかし透子の期待する応えとは裏腹に冷めた答えが帰って来た。



「まだ私に作らせる気?」


「ん? ……あれ? ぃゃぁぁぁぁ、駄目?」


――OROOROOROORO――


 透子にとって楓香の反応は想定外だが納得がイクだけに、どうしたら作って貰えるのかを考えてしまうのも間違いで、どうしたら良いのかを考えなくてはイケない状況だと認識はすれども考えは追い付かずオロオロと目が泳ぐ。



「ぷふっ……」



 楓香は一仕切(ひとしきり)楽しんだのか吹き出して、意地悪さを滲ませた目で何かを考え(はかり)にかけるように口にした。


「嘘、良いよ! でもぉぉぉ、解るでしょ?」

「え? ぁ、あぁ…何が?」


〈え? 馬鹿なの?〉

 真顔で確認して来た透子に、要求しか考えていなかった楓香の方が慌ててしまった。


「ふんっ……お返しよ!」


 してやられたのは楓香の方だった。悔しいが悔しくない。そもそも要求なんてさしたものでもなかっただけに。



「お願いします。今から夕飯用意するからさ!」

「よし」



 キッチンに向かおうとした透子の目の前に逃げ出していた零君人形がビールを持ち気不味そうに現れた。



――BIIIRU! BIBIRU――

『…ひーほー…』

「調度良いわ」



 透子は零君人形を鷲掴みにして袋詰めにすると鞄に入れた。


「ちよっと買い物に行ってくる。デブる持ってっちゃってて平気?」

「うん、もう測ったから大丈夫だけど気を付けてよ!」


「大丈夫、一応コイツも連れてくから、何かの役には立つでしょ。アンタはデブる(ソレ)の使い方バッチし解ってるんでしょ? 留守番頼むよ!」

「うん、任せて!」


〈うん、心配ね……早く戻ろ!〉

「誰が来ても開けちゃ駄目だからね……勿論私以外〈典型的なヲチは御免よ〉」


 そう言い残して鍵をかけ不安を断ち切る様に鞄の中で(うごめ)くアレを壁に押し付け、見事なエルボーで黙らせると覗き込み囁いた。



「アンタの身体は布製だっけぇ? 言う事聞かないと、燃やすわよ!」

『…コイツ、気付いてやがったな…』

 ボフッ#


 大人しくなったアレを鞄に入れ、すっかり夜になった商店街を抜け隣駅との間にあるディスカウントストア【深夜営業の宝物電ホンキドウテー】へと向かっていた。





「お前、最近ファット見たか?」

「ううん見てないよ」


「さっき爺ちゃん変な話しててよぉ……要約するとファットがフィットになったって話でな、あれは負けた俺を煽ってるのか?」

「まだ勝負する気?」


「当たり前だろ、アイツに勝たないと不戦勝扱いなんだぞ!」

「でも八合目はキツいょ……」


(いただ)き目指すのに、越えなきゃならない試練だと思って耐えろ! 俺達で八合目の旗をファットから奪ってやるんだよ!」

「だから、女の子一人に対して男二人で挑む時点で負けてるって……」


「クソオオオッ! それは言うな。でも、あのファットだぞ女の子か? お前と同等か確実に俺の倍以上あるんだぞ! あんなの男も女も無ぇだろ!」


「またぁ、そんな事言ってると張り手されるよ……」

「やってみろってんだ!」




 透子にその会話が耳に入ったと同時に戦闘モードに切り替わっていた。

〈あのガリ……〉




「ょぉ、ガリの旦那……」

「ひっ! ファット……?」


 地を這う鬼の様な声で耳元で囁いて来た。が、ガリと呼ばれた男が振り返ると間近な見覚えの無い若い女の顔に慌てて離れ困惑する。



「……あ、れ? どちらさん?」


 


 ね? 色々。(笑)

 次回は更に……?

『…』

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