146〜富士山九合目〜
水に流す。日本の悪しき習慣故の末路に何を思うのか……
昨今、国や都が取り組もうとしている差別の排除を謳う新たな海外からの団体圧力の動きがある。
その経緯には不釣り合いにやたらと力を持つ海外の怪しい活動団体の言い分に乗り、この国に新たな利権の金の流れが見え始めている中で……
それ等と対象的な丘元都議のやっていた嫌煙のファシズムからなる感染症患者への侮蔑的な犯罪者扱いを推して反感を買った経緯に、都民にもその記憶が残る議員の排除を進めたいのは都知事としては当然か……
他にも様々な問題を起こしているこの都議会政党の責任逃れに病院へ逃げ籠もった都知事だが、数日前から一部議員の応援にと顔を出してはいるらしく幾つかSNSにその写真がUPされている。
当然それは選挙応援という己が党の宣伝活動としてだが、丘元都議の応援に全面的には来なかった理由も、悪い記憶の排除と考えれば……
「んんんんん? ふぅむ……」
後ろで針を刺さんとして構え何処に解れがあるのか見定めている楓香を横目に気にしつつも、零がPCに向かったのは、この丘元都議の弁護士としての活動内容を探る為だった。
透子に頼まれていた沢抹参議と田中元市長の例の車で起こした交通事故や違反の記録改ざんに関して、藤の店で起きた事への警察内部からの逃げの姿勢と似て非なる部分があるように思えての事。
――KATAKATAKATA――
その透子に頼まれた調べ物は何年も前の件で随分と遡る話だが、零は不審な点を見付けていた。
『…ひほぉぉぉ、廃車?…』
田中に人身事故の記録は見当たらないが、沢抹が金皮県警管内で起こした一発免停相当の速度超過を元金皮県知事の権限を盾に署長を呼べだのと脅して免れようとしていた件がその日付……
現沢抹参議が金皮県知事当時、金皮県民を裏切り踏み台にし金皮県知事から都知事選へ出馬しようなどと都政の政策内容までを発表しておきながら、劣勢と見るや否や出馬をドタキャン。
挙句の果てには、お笑いに挑戦する等と言って大手タレント事務所に所属したが、芸人をまで馬鹿にしての明らかな次の参議院選挙へ向けた顔売りの売名行為。
速度超過の件はそんな折。
記録を改竄した痕跡もあるが、このゴネ得を狙った行為が一般市民の目にも触れていたせいで一部メディアにまで伝えられていたが故に記録として残ってはいたが、大手事務所の力なのかそれも今は申し訳程度にしか残っていない。
ただこの件、それから程なくして廃車に出されたその車。
事故ではなく速度超過で警察の取り締まりを受けた車をわざわざ廃車にする理由が解らない。
その免停相当の速度超過を元金皮県知事権限で免れようとしていた折、運転していたのは妻だとして出頭しているが……
そもそも一発免停相当である30㎞/h超の速度超過違反者を、ゴネたからといって一旦そのまま当人が車を運転して何処かへ帰るのを許しているのも可笑しな話。
その上で、後日出頭しての挙げ句に元金皮県知事権限で免れようと更にその免停か否かの1㎞/hをゴネている訳だが、何故にその場で検挙して連行しなかったのかが問われて然るべきものだが……
それ自体を問う一文は何処にも無い。
そして、その後のもみ消しや自動車企業との利権互恵関係の証に、自動車保険の値下げを目的に自転車への保険加入義務化を関西圏にまで渡る自治体に推し進めた保険屋分配金再投資のカラクリに
吹っ掛け裁判を仕掛けた“丘元都議”という弁護士資格の乱用が関わってくるのだが、その利権に関わった自治体は組織的腐敗の末に多国籍企業に個人情報管理業務の委託や情報漏洩を繰り返している事からも、如何に売国奴的な連中なのかは明らか。
その“丘元都議”を弁護士資格の乱用を知って同じように使っていたのが現都知事であり、何にその乱用を使っていたのかにこそ……
ましてや、今の都知事は元は当時の環境大臣であり、それは沢沫参議が金皮県知事だった時の事。
自動車工場の金皮県への移転も同時期に、井戸水に汚染物質が見付かってからスグの時期に隠蔽工作を謀るかの如くに……
けれどそんな動きとは逆に、現都知事が環境大臣だった当時の都知事は、井戸水から汚染物質が出た事を都民に通知しその危険に井戸水の飲料規制を呼びかけ、更には都の水道水の安全を海外に宣伝して売り込もうと浄水施設の整備をしている。
それが敢えてなのかは今となっては判らないが、当時危険の回避に閉鎖された取水施設は追求出来る調査可能な状態で施設を残し取り壊してはいなかったのだが、現都知事になりそれも取り壊された。
今の都知事が当時の都知事を嫌う理由がここにもあるようにさえ見えてくる。
その当時に都知事になろうとしていたのが当時金皮県知事だった現沢沫参議。
環境大臣当時に沢沫と共に、都民を騙して井戸水、果ては都民の飲水へと繋がる地下水脈に汚染物質を垂れ流されていた事実を隠蔽し、今や下流に南へと北側の傾斜尾根伝いに東へと汚染は尚も進み続けており、
市を跨いで汚染物質が拡がり続けているこの状況でも隠蔽工作に走るかの如くに他の問題無い事ばかりを矢面にして、新たな利権の準備に都合のいい噂を流している現都知事。
それは正しく風雪の流布。
そして、先日NPOが調査した都下の東部にある井戸水取水施設からの水道水を飲用していた市民の身体から指針値以上の汚染物質が検出された結果が出るタイミングで、先の工場移転跡地近くの井戸水取水施設の取り壊しが行われた事に大いに疑いの余地がある。
――KATAKATAKATA――
序だからと更に調べて行く零。
『…ひーほー、となるとアレも……』
更に東の地域で数年前、都に流れる小さな河川に汚染物質が検出され、当時の都知事が下水処理場施設にまでを調査指示。
結果は古いGSの埋めたタンクの劣化から地下水脈へ流れた物と判明したが報道は小さく、あっと言う間に解体し更地へと印象操作に余念はなく。
ただその後、何を恐れたのか神田川の源流がある都下の最東に位置する市で取り組み始め、メディアでも多く取り上げられた一般住宅の庭先での雨水の地下流入坑の施工補助。
当時のニュースでそれを見ていた零は不思議に思う所が多々有った。
下水処理施設に関する河川への問題と、源流地域で雨水の地下流入坑の施工補助。
起きた年も違えば、まるで関係ないような話に見えるがこの二件の時事ネタ、どちらも市民からの要請等でも施工される雨水溝によって引き起こされる問題である。
一方は雨水が道路脇の排水溝や雨水溝から下水へ流入し、その水量に下水処理施設で処理仕切れない汚染物質の流出が起きてしまう問題。
一方は雨水が道路脇の排水溝や雨水溝に流れる事により、地下水脈へ雨水が流入されずに源流の水量が減少している問題に、それを増やそうとするもの。
しかし、この問題に零が見たのは地下水脈への流入に源流近隣から雨水を入れる事の危険性。
本来、各地で井戸水が飲用された理由は安全性。
それは地下水脈に到達するまでの“ろ過”にある。
神田川の下流には御茶ノ水という地名がある程に飲用されてもいた江戸の河川。
勿論今は途中に下水処理場の排水もあり飲用される事は無い。
けれど近隣からの雨水流入では海洋汚染に至る経緯に、その安全性は逆にリスクとなる筈。
そこに零は先の件を重ねて見ていた。
あの自動車工場跡地から検出された汚染物質が既にこの源流にまで到達していたなら……
この都下最東の市までにすら、幾つもの水脈や水源が在る。
例のNPOが調査した井戸取水施設近くの崖線には名水百選にも選ばれた湧水地が在り、近隣住民や店を営む者が取水しに訪れてはその水を煮沸し珈琲や紅茶に米やカレーやスープやに使われている。
更には豆腐屋等では飲用では無い為に今も井戸水を使用する店も在るが、豆腐屋自体の減少傾向に歯止めが効かず、先の感染症では汚染とは関係ない地域に移転も経営悪化に閉店へと追い込まれた春る菜市の豆腐屋の件でも知る所。
こうした都下一円に、もしも汚染実態が明らかになったなら、その責任は……
当時の環境大臣と共に金皮県知事として工場移転の隠蔽工作を謀った者共を、選挙協力や支持した政党と後援した団体や企業、そして都下の市議市長と、河川から検出されれば区議区長も。
まさかとは思うが、神田川への汚染物質流入に気付き、源流地域の市政が敢えて雨水を流入させたとすれば考えられる事など……
雨水で薄めて街区画地域に含まれる生活粉塵や排ガス等に含まれる他の汚染物質と混合させる事で有耶無耶にする為としか。
そんな仮定に先の調べた内容が頭に巡る。
例の共産主義の政党の市議が、珍しく中途半端な追求に手を引いたあの議事録。
前回選挙では、他党と共に丘元都議の政党と選挙協力をしているだけに……
――KATAKATAKATA――
「ふむぅ」
針を刺すような部位が見付からずに裁縫具を片付ける楓香の姿を横目に確認した零は 、調べ物に集中していた自分にグッジョブを唱え安堵していた。
『…ひほほほほほ……』
その洗い物は汚れが酷く落ち難い。




