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14〜変化の決意〜


 腸女が楓香となった直後に目の前で本当の楓香が連れ去られこれから楓香は?

 そして透子はこれからいったい?


 新章スタートです。



「……てぇええっ! デブる!」


 二人は顔を見合わせ思い出し走り出した! ゆっくりと小走りで。片方裸足の透子はスグに犬の糞を目にしてしまい警戒心がMAXになっていた。


 完全に陽が落ち涼しくなった公園への散歩だろうか、スマホを見てるフリでトボケて他人の門前に糞尿をさせている飼い主に遭遇してしまった。


 裸足の透子にとっては正に地雷だ。

 そしてマナーもままならない処か、知っててわざと反する飼い主は地雷を埋める敵兵だ。


「ヴゥゥゥ、グァるるるゥッ!」


 これこそが地獄の番犬!

 勿論デブるは無い。他人の門前で気張っていた犬が先に気付いて怯え出し、出しかけてたモノを引っ込め走り出し飼い主が慌てて引き戻そうと振り返ると目の前にはケルベロス……


 否、牛魔王の鼻息に一瞬で狂気を察し目を合わせまいと下を向き犬と共に逃げ出した。



「解せん。あぁいうのが他のマトモな飼い主を(おとし)めるんだ。権力が無い自転車とか煙草とか漫画やアニメ……叩かれ易い沼あるあるの典型よ!」



――KYAIIINWANWANN――


「いぃから急いで!」

「ゴメンゴメンだって犬とはいえうんこよ踏みたくないじゃない。あ、」

 プチッ#

「冗談よ冗談、もうスグそこよ」


 透子は誤魔化し強がってみせてはいたが、本物の楓香を助けられなかった事を悔やんでいたせいで普段から割り切れなかった話ばかりが口をついて出て来る。

 怒りの矛先を目の前の楓香に向けまいと踏ん張ってアパートを前にした所で鍵を渡し先に行かせた。




「ぬぉおおおっ!」



 楓香の叫び声が響く!


「え? アイツ等?……いや、デブるか〈いったいアレは何なのよ?〉」



 慌てて駆けつけ半開きのドアの前に立つと目の前には零君が……歩いてる!?




「嘘でしょ? 本当にチャッビーになっちゃった……ひょっとして、これがデブるの力なの?」



「ああ、違う違う! それは元々」

「へっ?」


 楓香がデブるを首にかけ撫で撫でしながら奥から出て来た。チャッビーは冷蔵庫を物色中だ。


「……なら今の叫び声は?」


「あぁ、それね。見て! デブるの穴にビーズのリング入れてみたの、超絶可愛くない?」

 プチッ#

「……アンタ、あれだけマズいマズい言ってたのはどうなった訳?」


「ん? だからぁ……」


 ほぉら! と、でも言いたげに透子のデブるを手渡され、楓香は首にかけたデブるを愛おしそうにコチラに向けて撫でているだけで何も語らない。

 その間にチャッビーはお菓子の袋とビールを持って部屋の奥に消えて行きテレビの音が……


〈……アッチはアッチでやりたい放題ね……〉


――UHYAHYAHYAHYA――




「……てか、何か言えーーーっ!」



 ビックリした楓香が目を丸くして何故怒鳴られたのかも理解出来ていない様子に、透子の方が(おどろ)いていた。


「口で説明しなさいよ。何が何だかよ?」


 楓香は頭を巡らしようやく理解したのか口を開けたが、説明に苦慮して中々言葉に成らず(もだえ)ているのを歯痒く見守るが、奥からテレビの音量が上がり苛々に変わる。


 楓香が(ひらめ)いた顔をして説明し出そうとする口に指を当て静止した透子が問う。



「デブるの前に、アレよ! 私の零君人形がどうして動き回ってんのよ! 元々って何?」

「あぁ……あの呪いの人形? 大丈夫、悪い子ではないみたいだから」


「いぃゃ、あれどう見ても悪い子でしょ! ウチの冷蔵庫(あさ)ってビール飲んでんのよ!?」

「だって、中身オジサンなんだから飲むでしょ……」




 またこれだ。斜め上を行く……おかげで苛々なんて吹っ飛んだが……

〈え? ちょっと待って、オジサンが中身で、元々……〉


 透子の背筋を凍らせる本当の恐怖が襲う。


「あ、あの……元々って、アレに何時(いつ)からオジサンが? というかオジサンって元々は人なの? ちょっと……」


 透子が尋常ならぬ動揺を隠せずにいるのを見ていて楓香も理解し、誤魔化すには手遅れで気不味さが二人を包んでいた。


「やっぱり、悪い……子、では無く本当に何処かのオジサンなの?」

「うん」




――BIIIRUBIIIRU――

「ぬぉおおおおっ!」


 透子の恐怖は狂気に変わった。と、同時に表情が消えた牛魔王が部屋の奥に向かい大暴れしていた。



「この変態がぁああ」



――――――――三分後。



 血塗れの様に赤い綿糸が飛び出た零君人形が手足をタイラップで締め付けられ目玉にガムテープを貼られた状態で戻って来て、玄関のハンガーラックに逆さ吊りにされていた。



『…糞ビッチが…』(幻聴ではなかった。が敢えて無視だ)


――GUTTARI――


「で、これをどうすれば良いのよ?」

「え? どうもこうも、そこまで()れば十分かと……」

「は? デブるよ! そもそも何がマズいのよ?」



 楓香が周りを気にして部屋の奥にと導き説明を始めた。



「デブるとは常時近くに居ないと所有者の認証が解けちゃうの。だから離れてた時はなるべく可愛がってあげて愛着行動をとることで所有者認証を戻す事になるのよ……」


「あぁ、だから撫で撫で? でも、もし所有者認証が解けてたらどうなるのよ?」

「…………」


「また言えない事なの?」

「違う、認証が()けたら()けるのょ……」

「ん?」


 透子の中でここを曖昧に理解するのは危険だと確信したが、それ故に確認する内容が恐ろしい話なのも察していた。


〈コレ絶対にヤバいやつよね。聞く? あぁもう、ここまで来て退けるか!〉


分解()けるってのは? やっぱり……」

「羽よ」

「え?」



 予想外だった。今までが非常識過ぎたせいで自分の感覚が可笑しくなっていたのかもしれない。何にせよ羽が無くなるだけなら……


「なぁんだ、私達の体かと思って身構えちゃったじゃない!」

「私達の羽よ!?」

「ま、まぁそうだけど……」


「どっちにもイケなくなっちゃうんだから気を付けてょ!」


「あ、あぁうん、気を付ける。バディ人形みたいなもんね! 私もキーホルダーみたいにしようかな……」

「うん、それが良いと思う」


 急にまた女子高生のノリに戻った楓香は、透子のデブるに指を向けた。



「だぁあああストーーーップ!」


 

 まぁ……帰宅した訳ですからホーム……ドラマになりますわ。(笑)

 ただまぁずっと家に居る訳には……。


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