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101〜勇気の一歩〜

 粋な心も衰退の危機に



 ボフッ#

「行って来るぅう」

「気を付けてね」


『…ひ…血…』


――CHIRIRINN――



 透子の研修が終わるまで繰り返すつもりだった大泉に対する床鍋の行動調査だが、二日目にして粗方の収集は出来ていた。


 今日もスーパーでのイートインを済ませ、透子はどうやって大泉をあのスーパーに誘うかに悩んでいたが、

 大泉の方から誘って来た事に驚きと安堵の()も言われぬ顔を見せた透子に、大泉からの質問は自身の表情を悩ませた。



「それ、どっちの顔?」



「え?」



 大泉は昨日持ち帰ったスーパーのチラシに見付けた安売りの目玉商品に食い付いていた。


 それまで入った事の無いスーパーの特売は、一度何かで惹き付ける事が出来れば期待感から最低でも一月の内に何度かの来店に繋げる事が出来。

 次のチラシまでは視察のように他店との比較を軸に来店してくれる。


 タイミング良く大泉の良く買う物が今日明日と二日連続で特売品に掲載されていると知り、透子は明日の誘い文句を考えずに済む事に胸をなで下ろしていた。


「ヤッタァ! のつもりで……」


「物凄く下手ね」

「いや、私も行きたかったんで」

「ううん、表情の話」



 そう言って楽しそうに笑う大泉を追い回し、他人を不幸に陥れて嘲笑う者達は、地区毎に振り分けられているようにも見える指示の数々。


 その追跡行動そのものが組織下位層の者達にとっての食い扶持(ぶち)になっている可能性にも気付くが、


 既に透子を追う者は無く、大泉への追跡に集約している。

 その行動原理からしても、ターゲットを自分勝手に創り出し、面倒事を増やしておきながら、その面倒事を下位層に渡す。


 まるで下位層の為に仕事を創っているかの如くに傲慢なTKT-F0013に見えた対象の創出に、被害者となっているのは何の罪も落ち度も無い人達だと判る。



 と、同時に他にも大量の被害者が居る事をこのナンバーが示していた。


 その中に透子に近しい者が既に二人も居る上、平然と対象では無かった透子に対してもスマホに覗きウィルスを仕掛ける程の無法な輩共と理解出来る。




 そして、指示される側にも一部指示側と通信アプリを介さずに、電話で話している者と、無線で話している者が居る可能性を指示の中から見出していた。



 指示の中に、通信アプリに応対しないIDに長を意味するのかCを有する者に従えという指示。

 その指示側と実行側の間を繋ぐような何者かは、恐らく自身を指示側と同等に居ると勘違いしているのだろう。


 指示側の立場から見れば、その者は都合の良い駒そのものであり、お立て上手に使えば勝手に意図を理解し動き


 調子に乗って対等な言動なり勘違いを許しておけば勝手に自信を持ち、指示の横暴にも気付かない……



 馬鹿な者程扱い易い者は居ない。



 恐らくは強気な者で、見た目で相手を威圧出来るようなタイプか、勘違いに溺れる背後関係を前面に出してるヒョロガリかであろう事は想像に容易い。


 当然、その者の割り出しはもう一度スーパーに顔を出せばスグに判明するだろう。


 そして、指示に対応する追う者達の通しIDとも見えるソレが常に同じ者に与えられているのかの確認に、透子の帰りを待っていた。

 いや、それ以外でも……





「梱包これで良いの?」


『…ひほ、そろそろ来るから早く…』



 昨夜の購入に対応する為、早々に配達を予約した……

 のは零だが、当然ながら配達員に対応するのは楓香だ。


 受けるだけなら置き配で済ませられたが、楓香が渡すだけで良いように全ての記入欄をチェックし、ケースに貼り付けるだけまでにしていた。


 その準備の旨を朝出勤前の透子に伝え解放された零だったが、大変さを伝えるのに思わず見せてしまったホームページには、新たな零の自撮り写真が掲載されていた。

 そして……


 ボフッ#



 こんなにも早く購入者が立て続けに来るとは予想だにしていなかった為、買ってはいたものの梱包資材の使い方も良く解らないまま始めた零と楓香の奮闘の末が今。



「これで終わり?」


『…ひほ、楓香あと三つ追加だ…』


「ひほ?」

『…じゃねえ、早く…』



 新たな写真の効果なのか増える購入者に対応を焦る零と、正解も解らぬままに一人で梱包する楓香。




――DONDONDONN――


「宅配便でーす」


『…ひほっ!?…楓香時間伸ばし…出来る訳無えか…』

「ふむぅ……」



――DONDONDONN A.SOUIEBAKOKOGAIJINNNO――



「はい、今少し準備していますので少々お待ち頂けますか?」


「え、あ、はい、ごゆっくり……」

『…ひほ?…』



 楓香の純日本人的な和の対応に、妙な色気を感じて黙る配達員と零。


 楓香が何で得た知識なのかは判らないが、そのお淑やかな物言いに何故か落ち着く男の性は、カリカリとした世知辛い世の中にあって抱擁感を有していた。


 と、我に返り焦り記入欄の最後にGUTs ASHの名を記した零が振り返ると、モニターには藤真の姿があった。



 慌ててパソコンに戻り確認する零。

 楓香は絶賛梱包中。



 意外にも伸びる購入者に、通信アプリの監視に、透子達のモニタリングにと、人手不足に陥っているのはGUTs ASHか対床鍋か。


 


 和の心粋も時には如何


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