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夢喰旅行  作者: 憂。
1章 初めての日記
6/10

夢の果てに

 夢の中って、人によって結構景色が変わったりします。夢は1人1人違うから当たり前なのですが、似てるところもあったりします。基本的にはモヤモヤが全体的に広がっていたり、その人が住んでいる街の形が大体再現されています。フェイさんの夢も、〈ハウ〉の街並みがそれなりに再現はされてます。違うところがあるとすれば…ティアナさんとフェイさんのお家が鎖でぐるぐる巻きになっていたり、街のいたる所にクレーターのような窪みとかがあります。あっ、港も閉鎖されてますね。…なんかやっぱり怖いぞ。


なんでしょう、極度に人との関係を断ちたいように見えてしまいますね。ティアナさんとのお家は鎖で封鎖されていて、港も使えないから人が来れない。街並みもボコボコで、これだと外に出たくないなぁ、私なら。転んじゃいそうですし。怪我は痛いので。あ、飛べばいいのか。


こんなボコボコしてる中走り回ってるフェイさんは凄いなぁ…。アスリートかな。転んでないといいですけど、探すのが大変なのでやめて欲しいのが本音です。


どこにいるんだろうなー。途中までは追えていたんですが、夢の景色に目移りしていたせいで見失ってしまいました。やってしまった。しょんぼり。

幸いなことにティアナさんはとことこ歩いていたので、上から着いていっているわけなのですが、彼女も止まらないし、この街の中には居るはずなんですが…どこですかー。


当たり前ですけど、悪夢の主は、その夢の範囲内から出る事は出来ません。まぁ出ようとする人はいませんけどね。そこは自分だけの世界なので、主で、王様ですから。私は入りませんが、確か普通の夢でも主がいて、そちらも範囲内でのみ行動しているようです。

なので今回みたいに逃げ回る主さんでも、行動範囲は限られるわけです。しかも今日はふわふわお姉さんのティアナさんもいますし、鬼ごっこも簡単ですね。ティアナさんが止まった所で、その向かい側から私がこんにちはするというもので、挟み撃ちをして逃げられなくします。私やっぱり賢い。ふふん。


…あ、ティアナさんが止まってまたニコニコしてる。今度は少し距離が近いのかな?あんな隅っこでまたフェイさんは体育座りしながらブツブツ唱えているんでしょうか。今度こそ逃がさないぞ。ぶぅちゃんに負担がかからない程度に急いで飛びましょう。逃げ道を塞ぐように降りて、包囲網の完成です。


「ぶぅ!ぶぅ〜ぶぅ!」


はいはい、ぶぅちゃんも混ざって包囲しちゃいましょうね。


…よいしょ。

うん。やっぱり飛ぶのは楽しいな。障害物も無いし、早いし、気持ちいいです。ぶぅちゃんをそっと降ろしてあげて、早足でフェイさんの元に向かいます。フェイさーん、もう逃がしませんよー。


「…あぁ、もうダメだ…このままじゃティアナに愛想をつかされて嫌われてしまう…どうしよう…」


本当にまだ言ってる…。逆に凄いな。噛まないのかな。

フェイさん、ティアナさんは貴方のことが大好きみたいなので、そんなに思い詰めなくて大丈夫ですよ。


「…そんなことは…ないんだ…。いつも買い物に行っている時、他の男性とニコニコ楽しそうに話しているのをよく見る…僕に不満があるから…きっと他の人のところに行ってしまう予兆なんだ…。」


…なんでしょう。だんだん面倒くさくなってきました。

フェイさんはなんというか、現実世界ではお父さんみたいというか、おおらかでキリッとした感じの人だと思っていたのですが…この夢のフェイさんはイライラするな。


ティアナさーん。貴女の旦那さんが凄いめんどくさいので、声掛けてあげてくださーい。


「え?私?…うーん…。フェイさん、私ね、貴方に対して不満を感じたことは1度も無いのよ?今だって、普段あんなに頼り甲斐のある貴方がこんなに小さくなって、まるで子供みたいで可愛いな〜って思ってるの。…もし何か悩みがあるなら、2人でお話して解決しましょう?私たちは誰よりも愛し合ってる夫婦なんですからね〜。ふふっ。」


女神かな。やっぱりSっ気は感じられるけど、ティアナさんの雰囲気と話し方がそれを包み込んで、柔らかくしてくれてるみたいだ。


「本当か…?いやでも…。」


ああもうめんどくさい。ティアナさんがSになるのも分かる気がします。


「ぶぅ!ぶぅぶぅ!」


ぶぅちゃんも少し怒ってますよ。ぷんぷん。


はぁ…。フェイさんはティアナさんが信じられないんですか?


「そんなことは無い!ティアナは僕の何よりも大切な人で、命よりも守りたい人なんだ!だからこそ、今の自分の不甲斐なさに落ち込んでいるんだ…。男女問わず彼女が他の人と仲良く話していると不安になってしまうんだ…。」


ああやっぱり。だからさっきも逃げたのか。

多分フェイさんは、ティアナさんへの愛が強過ぎて、それがいきすぎて悩んで、悪夢を見てしまったのでしょう。依存の域に入っている気はしますが…私から見たら似た者同士ですね。


フェイさん。ティアナさんを信じているなら、しっかりお話しましょう。言葉にしないと、相手には届かないし響きませんよ。貴方の大切な人は、貴方の言葉を待っています。貴方の声の響きでしか、彼女の心は揺らせません。だから、大丈夫です。


手を取ってお話してあげると、フェイさんが急に顔を上げました。びっくりした。


「…そう、だね。これは僕の問題ではない。…夫婦の問題だ…!そんな簡単な事だったのに、気付くことが出来なかったなんて…メルアちゃん…ありがとう。」


いえいえ。私は何も。お腹空いているだけなので。


「ティアナ…目が覚めたら、僕の話を聞いてくれるかな…?」


「ええ、もちろん。」


微笑ましいな。夫婦の繋がりは、誰にも邪魔出来ないでしょう。


「ぶぅ〜!ぶぅ〜!」


ぶぅちゃんも嬉しそうだね。よしよし。


…フェイさんの身体から、周りのものとは違うモヤが出てきました。これを待ってました。

これこそが、私が、夢魔が生きるために必要なコアです。毎回大変ですが、ここまで微笑ましい気持ちでこれをいただくのも初めてです。これは…良いものだな。うん。


急いでモヤを回収しなければ。そろそろお腹が空いて、お腹が鳴ってしまいそうです。それは恥ずかしいので避けなければ。


モヤに向かって手をかざすと、手に吸い込まれていきます。私のお洋服は袖がぶかぶかなので、袖の中に入ります。このまま体内に吸収することも出来ますし、その方が楽なのですが、私はぶぅちゃんと一緒に味わいたいので、袖の中で飴玉のような形にモヤを変形させてます。方法は秘密です。ナイショの女ですから。


全部吸収して、コアの飴が2つ出来ました。紫色で、魔物っぽい色です。美味しそう。

普通の飴よりだいぶサイズも大きいので、頬張ることになってしまいます。夢の中でしか出来ない顔をしてしまっています。現実では恥ずかしいから出来ませんが、良いんです。今ご馳走を目の前にご機嫌ですから。


もう我慢出来ないので今日はすぐ食べちゃいます。はい、ぶぅちゃんもよく頑張ったね。どうぞ。


…うん、やっぱりこの飴が1番美味しい。ふふっ。


「ぶぅぶぅ♪」

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