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夢喰旅行  作者: 憂。
1章 初めての日記
5/10

悪夢の正体

 夢の中に入ると、私の姿も少し変わります。夢魔っぽくなる…と言った方が正しいかもしれません。見た目が変わる訳では無いのでお洋服はそのままですが、背中というか、腰部分から翼も生えて、自由に飛べるようになります。夢の中なんだから自由に飛べるだろう、と思う方もいるかもしれませんが、いくら夢の中でもぶぅちゃんは飛べません。飛んでいる私をキラキラとした目で見てくるので、飛ぶ時は抱っこしてあげます。可愛い。

現実世界でも一応翼を出して飛ぶ事も出来るのですが、周りが人間の姿ばかりで、他の魔族の人も人間にしっかり化けているみたいなので、私も真似してます。1人だけ空飛んでたら怪しいですからね。


それと、悪夢のコアのお話ですが、喰べるといっても、その辺にゴロゴロ転がっているわけではありません。その悪夢の主…元凶となっている人や物の中に潜んでいる場合がほとんどです。それらを倒す、壊す、もしくは平和的に改心…でいいのかな。それをすると、主からコアが溢れ出してきます。

実体のある核では無いので、どちらかというと、モヤに近いですね。夢の中もモヤモヤなので、色が同じじゃないのが救いです。よかったよかった。

私は平和主義なので、改心させるのが好きです。主とはいえ、その人とお話出来ますし、夢の中なら、何でも話してくれるんですよ。ガードが緩いんでしょうか。寝ているからですかね。多分そうだ。


…それで、今の現状をどうするかなんですが…なんでしょう、凄く怖い。フェイさんに話しかけたら呪われそうな気がしてなりません。何を呟いているのかも聞こえませんし、ティアナさん助けて。

迷っていても仕方ないので、非常に怖いのですが、少しフェイさんに近付いてみましょう。

怖いからぶぅちゃんも来てね。


「ぶぅ!!」


あぁ、なんて可愛くて頼り甲斐のあるお返事なんでしょう。これはご馳走を半分は分けてあげましょう。そうしましょう。

それでは改めて…フェイさーん…?


「…あぁもうダメだ…このままじゃティアナに愛想をつかされて嫌われてしまう…どうしよう…あんなに可愛くて綺麗な女性だもんな…そりゃ僕よりも良い人が…あぁどうすれば…」


…惚気かな?


「…ぶぅ?」


ぶぅちゃんもよく分からないみたいです。

しばらく聴いてみたのですが、先程のような事をひたすら繰り返しているようでした。聴いているこっちが喉乾いてきました。からからです。

これはこれで変わらず怖いのですが、そうなると、あの遠くで立っているティアナさんがより一層気になります。笑っているんですが、怒っているようにも見えます。旦那さんを叱るお嫁さんの図ですね。

ティアナさんにもお話聴きたいのですが、私も怒られたりしないかな。平気かな。

…よし、いくよぶぅちゃん。ティアナさん、何かあったんですか?


「あら〜、メルアちゃん、こんばんは〜。何って…何も無いわよ〜?この人が何か悩んでるみたいでず〜っと小さくなってるみたいなんだけど、その姿もほんっと〜に可愛くてね〜?ついつい見ちゃってたのよ〜。メルアちゃんも見ていく〜?」


いえ、私たちは大丈夫です。

あらそう、とティアナさんはまたニコニコ眺めはじめてしまいました。

…悩んでいる姿が可愛い?小さくなってる旦那さんが可愛い?だから声もかけずにずーっと眺めている?

ティアナさん、Sなのかな。うん、実はドSだ。ドSなふわふわお姉さん…ありかもしれない。

ですが、怒っているわけでも無いようで、むしろ楽しんでいるというか、喜びの気持ちが凄かったです。


そうなると…フェイさんが何で悩んでいるのか…あのブツブツ唱えているのはやっぱり怖いですけど、しっかりお話聴かないとダメっぽいですね。おーい、フェイさー…ん?


…あれ、いなくなってる。ティアナさんと私が楽しくお話している間に、逃げたのかな。悪夢の主はよくいなくなりますので、想定していたことですが、普段はお話途中とか、悩みを解決している時に逃げられるものなんですが…やっぱりなんか変ですね。


うーん…ティアナさんと私がお話してる時に、それを見て逃げ出した…。それとあのフェイさんの呪文みたいな独り言…。現実でも、過去か今現在もそれが続いている…?まさか…。


いやいや、さすがに考え過ぎですかね。

フェイさんの事は正直そこまで知りませんが、まさかそこまで思い詰める人でもないとは思ってます。でも悪夢見ちゃってるしなぁ…。困ったね、ぶぅちゃん。


「ぶぅ…。…!ぶぅぶぅ!」


ん?どうしたの?ぶぅちゃん。…って、あぁ、なるほど。


ぶぅちゃんが向いている先で、フェイさんが全力で逃げてますね。あの人あんなに早く動けたんだ。凄い。

もしかして、ティアナさんと私が見えない所に移動してるのかもしれません。そのティアナさんは後ろからトコトコと歩いてついていってるので、逃げられなさそうですけど。鬼ごっこみたいですね。鬼ごっこは得意だぞ。


ある程度悪夢の見当もつきましたし、あとは私とティアナさんとフェイさんが集まれば何とかなりそうですね。そうと決まれば…飛んでいきましょう。走るのは疲れますし、飛ぶ方が早いですからね。おいで、ぶぅちゃん。


「♪〜」


抱っこして、ルンルンなぶぅちゃんと一緒に飛びながら、フェイさんのところを目指します。どんだけ走ったんだあの人。凄い遠いな…。


暫くは、変わり映えしない夢の世界の景色を眺めながら、2人で空のお散歩ですね。

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