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夢喰旅行  作者: 憂。
2章 初めてのお店
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お店のあれこれ

 お母さんと一緒にお店をやることになりましたが、何よりもまずはお片付けとお掃除です。キレイにして、内装も変えて、1からお店を作らないといけません。ちょっとめんどくさいですが…大切な事ですし、お母さんと一緒に何か作業するのはお家を出る時以来なので、少し楽しみです。


ほこりっぽさに全員でうんざりしながらもお掃除を続けていると、フェイさんとティアナさんがひょっこり顔を出してくれました。ほんとに一緒にいるんだな。


「お、お店の準備かい?ごめんね、こんなボロのお店しかあげられなくて…。」


いえいえ。ところで、フェイさんはここで何のお店をやっていたんですか?


「ああ、いわゆる何でも屋…かな。落とし物探しから引越しの手伝いとか…本当になんでもお手伝いする仕事をしていたんだ。」


何でも屋…仕事あるのかな。

ほこりもすごいし、実はほとんど開いてなかったのでは。後半は悪夢の関係でティアナさんから離れたくなさそうでしたからね。


「仰る通りで…。みんな、何でも屋なんて使わなくても自分で全部出来ちゃうんだよね。この街の人々は強い人ばっかりだよ。ははは。」


笑い声が乾いてる。大変だったんだろうな。私のお仕事、上手くいくといいな。

フェイさんとお話していると、その横からティアナさんが私に問いかけました。


「…ところで〜、あちらのお姉さんはどなたかしら?」


そうか、おふたりはまだ知らないんでしたね。あそこで鼻歌を歌いながらお掃除してる人は私のお母さんです。

おーい、お母さーん。


「はいは〜い!な〜に?メルアちゃん。…あら、こちらの方々は…?」


この人たちはフェイさんとティアナさんです。このお店をくれた人ですよ。…お母さん、私を観察してたなら知っているのでは?


「お名前まではさすがに分からないもの。え〜っと…はじめまして!いつも私の娘がお世話になってます。メルアの母親で、リリナ・アク・ヨハンナといいます。こんなお店までこの子にくださって…本当にありがとうございます。」


おお、お母さんが丁寧だ。なんか新鮮。子供の時に見て以来かもしれませんね。ぶぅちゃんもなんだかソワソワしてる。見慣れないよね。


「メルアちゃんのお母さんだったのね〜。こちらこそはじめまして〜。私はティアナ。この人はフェイ、私の旦那さんです。メルアちゃんにはむしろ私たちの方が助けて貰っちゃって…このお店は…そのお礼です〜。リリナさんも、好きに使ってくださいね〜?」


お母さんとティアナさん、なんか雰囲気は似てるな。ティアナさんはふわふわな優しいお姉さんで、お母さんは時々ふわふわの、なんか元気過ぎる人。…うーん、微妙?


「…ねぇねぇメルアちゃん。この人達の夢、美味しかった?あと、本当にずっと一緒にいるのね…飼い主とペットみたい…。」


お母さんが耳元で囁いてきました。

ええ、とても美味しかったですよ。お母さんにもあげたかったなぁ。


「次からは、家族みんなで食べましょうね!メルアちゃんと、私と、ぶぅちゃん!」


「ぶぅぶぅ!」


そうですね。そのつもりでしたし、それが幸せです。


それにしても…飼い主とペット。間違いなくティアナさんが飼い主の方だよな。何も知らない人はきっと逆を想像するでしょうけど、私は夢で色々知ってしまいましたから。フェイさんの後ろでにこにこふわふわしながら、それでもしっかり管理する飼い主のティアナさん。…うん。想像が出来る。あとちょっと怖い。


その後もみんなで他愛のないお話をして、おふたりは帰っていきました。ティアナさんとお母さんは凄く気があったらしく、今度お家でお茶をしながら話す約束までしていました。なんだか微笑ましい。きっと私も連れて行かれるはずなので、フェイさんのお仕事についてもっと聞いてみましょう。


お話してばかりだったので、お店の掃除と片付けをするだけでだいぶ時間が経ってしまいました。朝に来たはずなのに、もう夜が近い。ですが、私が来た時とは見違えるほど綺麗になりました。床も抜けてないですし。えっへん。…あとは、お母さんと一緒に色々出来るのがやっぱり楽しくて、嬉しくて、時間のことはすっかり頭から飛んでました。本人には伝えません。恥ずかしいので。


ここで生活しないにしても、ある程度の家具とか雑貨は必要ですから、明日はお母さんと買い物に行って、明後日からお店が出来るように準備しましょう。一緒に買い物…。ふふっ。


「ねぇメルアちゃ〜ん。お母さん疲れた〜!お家帰ってご飯食べてダラダラした〜い!」


さっきまであんなにしっかりした感じで話していたのに…実は見間違いとか別人なのかな。


お母さんも疲れて、私も実はへとへとなので、今日はもう帰りましょう。ぶぅちゃんもお疲れ様。


「ぶぅ!!」


ぶぅちゃんは元気だな。よしよし。


帰ったら何を話そうかな。お母さんとは話したい事が山ほどあります。お手紙に書いてあった事も、無かったことも。


お母さんも同じ考えなのか、帰り道はみんなルンルンでした。似た者同士だな。嬉しいですけど。

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