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フリーダムワールド  作者: 雪原果歩
第一章 楽しい生活の始まり編
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第二話 自宅警備員が昇格するそうです

車に乗り込んだ後、車内では秋山海将とは雑談をして時間を潰した。

しかし、時間が進むにつれ彼の表情は硬くなっていった。

恐らく、何かがあるのだろう。


次第に会話も無くなり、車内は沈黙に陥った。防衛省に着くと儀杖隊が隊列を組んで、まるで礼式を行うような厳かな雰囲気に包まれていた。隊長と副隊長らしき人物が車のドアを開けて防衛省へ先導する。

人生で恐らく一度あるかないかのもの凄い雰囲気に圧倒されそうになるが僕は負けじと冷静さを保とうとする。防衛省の中に入ってもその雰囲気は物凄いものだった。いや、奥に進むにつれ凄いものになっていく。ただ、この雰囲気は緊張とかそういうのだけではない。何か負のオーラのようなものを感じた。何か、人が捨てるときだったり選択しなければいけないときだったりするある種のプレッシャーだったりするものだ。


儀杖隊の隊長らしき人たちに先導されてやってきた部屋には応接室と書いてある。

僕とは普通に話をするだけと思ってはいる・・・・・恐らく。そうだけであると思いたい。

そうでなければ何なんだという話になるが今はただ、それがこの雰囲気と直接的な関係がないことを願うだけだ。

応接室と書かれた部屋に入ると、その場全体の雰囲気とは真逆の印象を持った。まるでその部屋が外と繋がっていないような、変な感覚。その部屋の中は木の素材などを多く使った柔らかな雰囲気をか醸し出していて、大きなソファが対立して置いてある部屋だった。


「どうぞ、お掛けになってください。あ、それとお二人はご退室を願います。」


海将がそういうと先導してくれた2人が部屋から出て行き、海将はソファに座った。


「それでは失礼します。」


僕が座ると海将は口を開いた。それは車内であった和やかな雰囲気ではなく、厳かな雰囲気であった。


「さて、チェリー殿。」


「殿!?いやいや、海将。僕には地位などありませんので今までのように言ってくださいよ」


「いえ、そうとは行きません。今回チェリー殿に防衛省に来ていただいたわけですが今の世界情勢が絡んでおります。」


は?世界情勢?なにそれおいしいの?ずっとネトゲしかしてないからニュースとかまともに見てないから世界で何が起こってんのか知らないんだけど・・・。


「すみません、僕ちょっと今の世界情勢を知らないのでまずそこから説明してもらってもいいですか?」


「もちろんであります。今、世界は民主・資本主義と共産主義で二極化しております。即ち、共産陣営と資本主義陣営ですな。その原因となったのが欧州革命です。」


う、うわぁ・・・・世界ってこんなに早く、キモく動くのか・・・。初めて知った。海将が続ける。


「この欧州革命において、欧州は英国を除き欧州各国は赤化しました。この欧州の赤化により、欧州は一つの独立国家共同体として欧州議会連邦の建国を宣言しました。そして、この日本列島では第二次世界大戦後連合国各国により分割統治が行われてきました。主要国のソビエト、フランス、アメリカ、イギリスの四国による分割統治です。また、この統治が今でも続いてることは恐らくご存知のはずでしょう。そしてこの欧州赤化によりフランスが赤化したため、日本列島も共産と民主・資本の二極化することとなりました。また、恐らくチェリー殿も気づかれているであろうこの雰囲気は・・・・・・。いえ、私の立場としてはとても申し上げられるものではありませんが、共産陣営がまず日本列島の併合を行う可能性が高いとの外務省の見解が強いです。」


「欧州が赤化と日本の二極化・・・・・。どうぞ続けてください。」


「はい。それで、今のところですが東海連邦に関して言えばですが。近々、学徒動員が起きます。

理由としては兵隊として起用できる大人がまず余り居なく、また、連邦軍も存在しますが事実上、欧州議会連邦軍が支援して我々を攻撃してきた場合はアメリカからの支援を受けますが、その支援自体に大幅なタイムロスがあります。」


「ということでの学徒兵・・・ですか。なんで成人男性などは徴兵できないんですか?」

「それにつきましては我が国は大規模な経済により国を築いている今現在でありますので、職場などから人を割くことなどもある種自殺行為なのです。それは経済を滞らせることであり、我が国に余裕といえる余裕は存在しません。」

「なるほど・・・・・それで?」


「以上のことをもって私、秋山國正統合幕僚長は貴方様に東海連邦軍と学徒兵の統合軍団の指揮権を委ねたいと私は存じます。」


数秒間の沈黙が応接室を包んだ。っぷ・・・・・


「っはははははっは!」思わず笑いが出てしまった。応接室はなんとも言えない雰囲気だ。

僕が笑い、海将が一人呆然としている。


「それで?なんで僕なの?まずそこから笑えるよね。」僕はまだ大爆笑している。


「は、はぁ・・。実は先日の閣僚会議にて本日のゲームの大会の優勝者に任せようと決まりまして。なので学生だけの大会だったんです。」

あぁ・・・なるほどそれで戦略ゲーでの大会でか。学生達が徴兵されるんだから、学生達に任せてみるかみたいなことか。


「それと、我々は演習はしますが戦はしたことはありません。チェリー殿のような方々は違う戦をしておられますが、我々とは違い百戦錬磨の指揮官であります。と、まぁそのような経緯などがあります。」


まぁ確かにFPSプレイヤーとかが軍人にスカウトされる時代だからなぁ・・・。さてと、僕もこれを受ける気ではあるから、さすがに本名ぐらいは名乗らねば失礼だな。


「わかりました、この国の命運任されました。海将殿。改めまして私、チェリー改め虚春桜花(こはる おうかと申します。これからよろしくお願いします。」


ニッコリと満面の笑みをしながら握手を求めた。それに応じてか海将もニッコリと満面の笑みで握手に答えてくれた。恐らく常人が見たら狂気を感じるような笑みだろう。何故なら、これは楽しいという笑みなのだから。


「あ、そうでした。これより、私から虚春殿へ指揮権譲渡が行われるので、虚春殿は自然に軍属となりまして、階級を大元帥と定めさせていただきますので。これからは私が幕下の一人となりますので。」


わぁ、自宅警備員から大元帥へ大昇格したぞ!やったね!


「それと、今後のことにつきまして、首相からお話がありますので首相官邸へのご同行をお願いします。」


「もちろんですよ。さぁ、楽しくなってきたぞ!人生でこんなこと滅多にないから楽しまなくては!」





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