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フリーダムワールド  作者: 雪原果歩
第一章 楽しい生活の始まり編
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第一話 自宅警備員が珍しく外に出るそうです

暗闇の中に響くキーボードのタイピング音。暗闇を照らす唯一の明かりといえば僕の正面にあるモニターぐらいだ。そのモニターでは兵士が世界を舞台に戦っている。そして僕はその最高指揮官だ。


侵攻ルートを指示して、時には撤退戦を指揮して防衛ラインの再構築を行う。

それが僕の唯一のやることだ。そんな中、戦況は目まぐるしく変わっていく。


ジブラルタル海峡が陥落した。そのあとすぐにスエズ運河方面の占領に成功する。

これで地中海に相手を封じ込めた。が、しかし敵を地中海に封じ込めたとほぼ同時に

画面には回線エラーの表示がでる。


「ファック!ファーック!あのプレイヤー・・・・ソフトを落としやがった」


思わず声が出た 

まぁ相手が回線を切るのも仕方なかっただろう。

ようやく戦争の準備が整って無防備な相手に電撃戦を仕掛けようとしたところで

イベリア半島やアラビア半島方面へ常人では考えられない速度で電撃戦を仕掛けて

地中海に艦隊が閉じ込められて、逆包囲される形となったのだから。


しかたなく僕は回線エラーの表示を消してメニューへ戻り、メニューからフォーラム覗いた。

最近のゲームってのは色々とすごくてそのゲームだけの掲示板があったり、その掲示板の活動が凄かったりしている。フォーラムを覗くと英語や日本語だけではなくヘブライ語などでもスレッドが立てられていた。がしかし、いつもとは違うスレッドが立っていた。よく確認してみるとスレッドとは名ばかりの事実上の運営のお知らせだった。運営からのお知らせをみると、なにやら全国大会を開催すると書いてある。

とりあえず、事実上の自宅警備員と化していた僕は時間を持て余していたので早速全国大会とやらにエントリーするためにお知らせに記入してあったURLからサイトに登録をした。






















気づけば少し時間が経っていた。

恐らく人によっては少しではなく、大幅にと言う人も居るだろう。

だがしかし事実上ニートの僕には少しの時間だ!

3ヶ月と言う少しの時間だ!

そして僕は今、何をしているかというと・・・・・・スタジアムに設営されたステージ上で

ゲームをしていた。目の前にはすごく大きいスタジアムのはずなのに会場には溢れんばかりの観客が居て、皆僕を見ている。何故だかわからないが観客は皆、ものすごく盛り上がっている。


僕はゲームを終わらせるべく相手の防御戦線を突かずに協力な海兵兵力を持って敵地に上陸作戦を決行した。上陸後は散開して敵陣の各主要都市、並びに敵地インフラ破壊などを行うように指示した。内地の残しておいた部隊を敵防衛ラインへ張り付かせる。しばらくすると相手が防衛ラインから部隊を引っこ抜き始めた。海兵隊を殲滅するためだろう、だがもう時すでに遅し。

薄くなった防御戦線に対して総攻撃を敢行し、戦線は崩壊 相手は降伏した。

その瞬間に僕の全国王者が決まった。


正直僕もここまでトントン拍子に進んで怖いとは思っている。

だって全国1位になるとは思わなかったんだもん。

気軽に時間つぶしの為にエントリーしたはずの大会が、まさか予選突破から地区予選、地方予選などを勝ち抜いてきて最後には決勝戦まで出られるとは思わなかった。思えば、生まれてこの方15年間こんなことは無かったな。あれ?これ意外と面白い話だな。本でも書いたら売れそうだな。

なんて思いながら式典などを作業的に終わらせていく。

何故なら僕は、どうでもいいことはどうでもいいと切り捨てる人間だからだ。面白くないものを続けていても意味が無いし、ストレスになるものを持ち続けてもそれはいずれ負の塊となり自分を責め立てる。

それが僕の信条だ。楽して勝つが尚良し。


やっと式典が終わると、帰り支度をするがために選手控え室に行こうとした矢先に知らんすごく怖い男の人が立ちはだかる。ここでブルってはダメだ・・・・心理的に負けたときが負けだ。怖い人が話しかけてきた


「君がチェリー・・・・君でいいかな?さんかな?」


確かに僕のハンドルネームはチェリーブロッサムだが・・・あと僕は男だ。何故いつも間違われるのだろうか。あぁ、悲しいかな・・・。


「男です。それで僕になんのようですか?」


警戒心が相手に伝えるが如くマシマシにして返す


「いや、私はこういうもんでね」


男は名刺を渡してきた


「連邦軍統合幕僚長 秋山國正海将・・・・?」


何故そんなお偉いさんが僕のところに来た?え?何?僕なんかした?覚えないんだけど?

連邦軍ってことは東海連邦の軍部ってことでそこの統合幕僚長ってことは・・・・トップ?

あわあわわわわ・・・・・・は!?何!?こわっ・・・・。と、とりあえず会話を切り返さなければ。


「そそそそそ、そんな方がぼぼぼぼ僕になんのようですかね・・・・」


まずい、怯えて言葉が震えている。よし、深呼吸だ。スーハー、スーハー。よし、落ち着いた。


「はっはっは。そこまで怯えんでもいい。別に君が何かしたとかそういうわけではない。私がここに居る理由は一つあるんだが・・・・ここではちょっと話せない内容でな。防衛省へ行こう 君がよければだが」


「身元がはっきりしているので僕としても身柄を預けさせても問題ないと思いますので大丈夫です。とりあえず話を聞かないと始まらないので行きましょうか、防衛省へ」


「そう言ってもらえると助かるよ。外に車を用意している。それと、君の荷物だが既にこちらで纏めて車に積んである。」


「それは手が早いですね・・・。と言うべきかそれとも・・・」


続きを言おうとすると言葉をさえぎるように彼は笑いながら喋りだす。

「はっはっは。君のその察しのよさはいいものだな、恐らく概ねあっているよ。


さきほど信用したと言っていたが、まるで狐か狼のような警戒心だな。」


「それを言うのなら貴方こそ狼のような人だ。」


しかしながら、さっきの会話が本当だとしたらこの人は僕に何をさせたいんだ?こんな中学もまともに卒業できてない少年に何を求める?ほんの一瞬の間に色々と思考をめぐらせていると、海将は苦笑いしながら返してきた。


「違いない。狙った獲物は生涯で絶対に逃がさないと決めているもんでね。」


車に乗り込み僕は確信した。この人は僕に何をさせたいのかよくらからないが、絶対に面白い人だと。 





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