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【詩集】花の咲く庭

息吹

作者: につき

無慈悲な

乾燥しきった

切り裂く寸前の

獣の双眸は金色に光る


命を育む

水の質量に満ちた

砂浜に沁みる

寄せて引く波は銀色に光る


一億年前の地球の色は

原色の赤または黄または緑

もしくは青

斑に斜に思いがけない模様


樹木は遥か高くそびえ

恐竜たちが跋扈する

目まぐるしく交差する

鮮やかな色彩


受け継がれた無情

収まらない波の運動

もっと近しかった太陽

もっと狂おしかった満月


金と銀だけが

日輪と望月だけが

記憶する恐竜の息吹




風に揺れて

輝く透明を保つ

目に青い清々しさの

五月の若葉は柔らかさに光る


今日の終り

ゆっくりと静る中に

夕餉の俎板の音

日々の暮らしは今は苗色なえいろ

あるいは浅黄うすき


すぐそこにある

昨日の 今日の 明日の色は

薄められてぼかされた

曖昧な色

あるいは 昇華した和の色


低くなり小さくなった

いのち

目まぐるしく交差する

情報と電線と人人人……


掘り起こす骨の太さ

収めておきたい歴史の暗さ

暗き星々への憧れ

明るい人類への理想


打ち揚げられた鯨

浮き上がり群れる人波

あの息吹が遠ざかっていく




(色のコード)

苗色#b0ca71

浅黄#edd3a1

お読み頂いてありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 自然の作る色の美しさがスッと心に入ってきて、ずっと前から自分の中にあったように感じられる、柔らかな詩でした。 一億年前の地球は原色で彩られていたというのも、CGアニメのように頭に浮かんで楽…
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