表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

六話

「ミト〜勘弁してよ怒られるの僕なんだから。」


「ワン!」


桜は教科書を出そうと鞄を開けたところ中に入っていたミトを見つけた。


「あー!ワンちゃん今日も来たの?」


女子の一人が声を上げると瞬時に他の女子も集まった。


「わぁー、なんだっけミトちゃん抱っこさせて!」


「あの、いいかな、神道くん?」


「ああ、いいよ。子犬だしさ、たくさんかまってあげて。」


ミトが人気者になれそうなふいんきに思わず顔がほころんだ。


「「「/////!!」」」


女子達は顔を赤くしてミトを攫っていった。


そんなに嬉しいんだ。ミトさっそく人気者だな。



☆☆☆☆☆☆☆



「ちょっと見た!?」


「笑った顔かっこよかった!!」


「「「ねー!!」」」


「いっつも無表情だったからね。」


おお、女子に好評ですな。やっぱり桜かっこよかったんだ。


そこに夕波が登校して来た。


「よお、ミトまた来たのか。」


ちょっ、わしゃわしゃしないで!!せっかく桜にとかしてもらったのに!!


「・・・優しくて明るい大谷君もいいよね。」


「うん。付き合ったら細かいことに気が利きそう。」


「「「ねー!!」」」


夕波も人気だな。


"うーん。私はやっぱり桜だな!"


うん、桜も優しいよね・・・ってまて、今私誰に共感した!?


"ハーイ、ミト。今日も来たんだ。"


いきなり机の中からぴょこっと顔を出して春子が挨拶した。


"みんなもおなじみトイレの春子さんだよ!"


「わう。(いや、そこ普通花子さんだから)」


"チッチッ。ダメだな〜ミト。今のトイレは春子さんだよ。"


外人のような否定の仕方をして春子はいった。まあ、いいや。




「(先生が)来た!!」


その一言でガタガタッと音を立てて生徒全員が席に着く。


すごいなーと思っていたら。教卓に取り残されていた。


「ミト!おいで!」


いや、桜。おいでって教卓の高さ知らないのか!めちゃくちゃ高いんだよ。(ミトにとって。)


わたわたしていると、




バン!!




びっくりした。先生が私の隣に大きなダンボールを置いた。箱にはG、37と書いてあった。





「よし、今日は・・・"38人"出席か?」



先生が呆れた様子で私を見てきた。




教科書配るぞーといって先生はダンボールを開けた。



配り終えると

「ミトは大至急職員室な。」


といって私を教科書の入っていたダンボールに入れた。






☆☆☆☆☆☆☆




あーあ、連れてかれちゃった。


先生の持つダンボールの中からミトの哀れな声が聞こえ、クラスは一瞬笑い声に包まれた。


「おい、桜!明日ミトを連れて行くのか?」


一回悩んで首を縦に振った。


「僕たちで協力して守ってあげよう。」


わかったといって夕波はうなづいた。


「ところで、川中ホテルね。調べたよ。被害者は5人。一番最初はカップル二人、女の人は風呂場でズタズタにされて、男はイスで自分で首を切ってた。これ二年前。それから一年の間に三人の女性が見つかってる。いづれも風呂場でズタズタ。」


「なんでビジネスホテルにカップルが・・・」


「他にホテルが無かったんだって。元ホテルの受付さん情報。」


「それを聞くとカップル間で何かあったと考えるのが妥当だね。」


「そうだな。男が女に対して相当の恨みがあったんだろな。」


何も関係ない女性まで巻き込まなくてもね。とため息をついていると予鈴が鳴った。




☆☆☆☆☆☆☆



「よし、あとは。水と・・・」


土曜日、学校から帰ってくると必要なものを持った。


学校帰りにペットショップで買った赤い首輪をミトの首に付けた。紐の反対側を持ち、自分の部屋の隅に立てかけてあった竹刀を背負った。


「よし。あとはいいかな。」


自分の首についている首輪を気にするミトを見下ろした。


「どう?ミト、気に入った?」


ミトは自分の首輪を見下ろしワンと甲高い可愛らしい声で吠えた。


どんなのがいいかわからなかったからシンプルな赤い首輪にしたが気に入ってくれたようだ。


「いいか。ミト、これから行くところは危険なところなんだ。絶対に一人になるなよ。」




ピンポーン



「あ、来た。行くぞミト。」


ワン!




☆☆☆☆☆☆☆



川中ビジネスホテル。


605号室に泊まると殺される(女性限定)という噂のあるホテルの前にいる。


正直に言うとめちゃくちゃ怖い。

さびれていて窓は全部ついているけどかなり古いホテルだったらしくいかにも「出ます」というふいんきがある。


その前に並ぶ桜、夕波、私とルー。


「よし。行くか。」


まず夕波が先陣を切って入って行ったその後にルーが入り私を抱いた桜が入る。


「エレベーターは動かないから非常階段から行くぞ。」


中はめちゃくちゃ埃で汚れていた。


みんなが一歩踏み出すだけで埃がまい床を歩いていたルーはすぐに夕波の上に避難した。


コンクリの階段を登る足音だけが響いている。木の階段で崩れそうとかじゃなくてよかった。




「うーーー六階!!やっとついた。」


階段をぐるぐる登りやっと六階に着いた。


二人とも体力があるのか少しも息が上がっていない。


ルーは床に飛び降りた。私もその隣に降ろされる。


「よし。みんないいか?」


桜がみんなを見渡し確認をとる。


非常階段から六階の廊下へ行く扉に桜が手を掛け一気に押し開けた。



そして・・・・・・






みんなばらけた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ