*4*
・・・最近側近達の視線が痛い。
懐妊が分かる直前まで王妃の元に通っていたのに、全く王妃の懐妊に気付かなかったのか聞きたいらしい。
まあ、物問いたげな視線が気にならないと言ったら嘘になるが、問われたら、問われたで不幸になりそうなので問わせるつもりはないがな。
一緒に過ごす時間が増えているからと、あんな人形の体調の変化など気づくものかと、言ってやりたい。
そして、人形が嫁してから、ツヴァイ公爵が大人し過ぎて、嫌な予感しかしない・・・・
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
人形の懐妊が分かると、ツヴァイ公爵は目に見えて浮足立った。
ツヴァイ公爵の中ではすでに次期王の外戚として、権力を握る未来が確定されたモノとして展開されているのだろう。
結婚後、一度として訪れたことのなかった王妃の部屋に出入りし「でかした、是非とも王子を産め。」と言っていたと報告が来ていた。
人形はそれを聞いているのかいないのか、無表情で公爵が帰るまで椅子にただ座っていただけらしい。
公爵と人形の会談は、常に公爵が一方的に人形に自分の欲望を言って帰っていくらしかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ツヴァイ公爵が人形の元へ日参するようになりしばらくしてから、人形から出産まで王都郊外の離宮にて静に過ごしたいと嘆願があり、これを許可した。
この決定に側近達は反意を示したが、『子を安全に産ませる為だ』と押し切った。
私自身は、陰鬱な人形が王城からいなくなる事実に正直、心が弾む心地さえしたとさえこの時は思った。
側近達も、大切な子のためにも王妃が心安らかに過ごされる方が良いのかもしれないと最終的には、賛成した。
人形が離宮に移り、政務で訪ずれた先で、私は運命の人と出会ってしまった。
読んでいただきありがとうございます。
本日2話目の更新です。
明日の朝までにもう1話更新したいと思います。