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「お前の乳母は、仕事をきちんとこなさなかったから罰を与えただけだ。
死を望んだから与えた。私は優しい主人だから、望みを叶えてやった。」
お父様が私に向かって仰った言葉。
・・・・・死を望むほどの責苦。
タリアはそんなに悪いことをしたのでしょうか?
タリアは私に沢山のものを、愛情を与えてくれました。
一緒にいた時間はとても暖かいものでした。
私には、それがいけないモノだったとは思えなかったのです。
タリアを失って私は少しおかしくなってしまったかもしれません。
一度として抱きしめてくれなかった家族。
常に傍にいて常に柔らかく抱きしめてくれた暖かい乳母。
彼女の最後を思っても、悲しいと思えないワタクシ。
そこにある残酷な結果を当然とし、避けるための努力は無かったものとされる現実。
『お父様達のすることを当然として受け入れ平穏に生きるべきではないのか』
私の中に葛藤が生まれ、後悔が生まれ、絶望が芽生えました。
この日を境に、私付の侍女たちはすべて入れ替えられ私から遠ざけられました。
そして、私付きの侍女達は姿を消して行きました。
私専属の侍女は居なくなり、私の侍女は1人2週間で入れかわり、2日ごとに顔ぶれが変わるようになりました。
乳母がいなくなり、1週間ほどして、きっかけとなったメイドがどうなったかが気になり、その時、世話をしてくれていた侍女に聞いてみたのです。
「あの子はもうこちらのお屋敷にはいません」
そう一言あっただけでした。
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