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・・・先ほど、私サフィーリアと、この国の国王陛下との結婚が決まったとお父様に申し渡されました。
お父様とチャールズ兄様は始終むっとした顔をされていて、この決定が本意ではないことがうかがえました。
お父様も、チャールズ兄様の本来であれば妹のアナスタシアの方を王様に嫁がせたかったのでありましょう。
でもこれは私がこの家から抜け出せる最初で最後のチャンスでもあるのだと思いました。
私は、この家がオカシイ事を知っています。
自分の好みだからといって、他家の奥方に相手をするよう強要し、あまつさえ断られたからとその家を、実家を潰し、家族を質に捕る様なやり方が許されてもいいのでしょうか?
お父様は、自分に歯向かったのだからその処遇を当然とし、お兄様もそれを当たり前とするのです。
彼の女性は、その後お母様に、「夫に色目を使う色狂いの娼婦には当然よね」といって町でも悪評の高い娼館へと売られることが決まってしまいました。
度重なる凌辱に傷つく女性が更なる地獄に突き落とされるのを見て喜ぶ家族・・・・
この時私はまだ6歳になったばかりで、ひたすら怖いと思うことしかできなかったのです。
女性が我が家からいなくなってしばらくしてお母様がお父様としていた会話が怖かった。
「あら、あの女もう死んでしまったの?」
「なに、ちょっとしたお遊びで家畜と番わせたら泣いて喜んで死んでしまったよ」
「まあ、そんな面白しろそうなイベントがあるのでしたらお連れ下さればよろしかったのに」
「家畜との結婚式なんて見てみたかったわ。
あの雌猫さぞ面白い表情をしていたのでしょう?」
私は、女の人が死んでしまった事実が怖くて乳母のタリアに泣きつきました。
タリアは中々泣き止まない私の背中をさすりながら、
「その気持ちを忘れないで下さいませ。
姫様は人に優しくできる方に育っていただきたいです。」
とつぶやいていました。
お読みいただきありがとうございました。
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