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(仮)王様と王妃様  作者: ちしゃ
愚王陛下の物語
25/38

閑話 ツェーン子爵の悲しみ

5/22文章若干手直し致しました。

内容は変わっておりません。

今日、ルイザが死んだと連絡が有った。


ルイザは、王に望まれ、王城に入り寵姫となった。


それだけ聞けば、しがない子爵家の令嬢のシンデレラストーリーに聞こえるが、現実は違う。



でなければ、私たちはあの子を勘当などしなかった。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆




王都より、王が遠駆けの際休憩で立ち寄った孤児院で私の娘、ルイザと当代国王陛下が謁見を果たした。


その日、孤児院の職員では王に対し失礼があってはいけないからと、一応貴族の私の妻と娘が対応することにした。



その場で、王はルイザを気に入ったらしく、妃にならないかと言いだされた。



妻も、私も身分が違い過ぎるのでとんでもないと断ったが、当人達2人とも聞き入れてはくれなかった。



当日の内に帰えられると聞いていた王だが、滞在を決められた。



当初は、当家にての滞在をご希望になったが、弱小子爵家に滞在中に何かあってはとそれだけは、ご勘弁願った。



一緒に付いてこられた、陛下の側近だという近衛騎士のアルベルト殿が申し訳ないとわざわざ詫びてくださった。





それから、王は1週間程、滞在されただろうか。



その間、ルイザは、送られるドレスに、宝石に、美々しい言葉に溺れていった。


それまで慎ましやかに生活していた者の価値観が一気に覆されたのだろう。


まだ、若い娘の事、そういったものに興味が有るのは分かるが、と、眉を顰めずにはいられなかった。




王の帰城後も、娘の元には数々の贈り物が届けられた。


その度、私と妻は王様に手紙を添えて返しなさいと言ったが、娘は心底不思議そうな顔をして、なぜ返さなければならないのかを問うてきた。


理由を説明しても、『これは、王様の好意の証なのだから返さなくてもいいのよ?』と返される。



どうするべきか頭を抱える日々が続いた。



そしてあの日、ルイザは国王陛下から贈られたというネックレスを手に宣言した。


「王様に、妃になりますって、お返事したわ。

もうすぐ、迎えに来て下さるそうよ?」


何を言っても聞き入れないあの子。


「私は、愛されているから大丈夫」


何が大丈夫ではないのか分かっている様には思えなかった。


「王城に妃として上がるなら勘当する」


と、言ってもネックレスに見入りうっとりした様子をくずさずに言う。


「お父様が心配するようなことは何もないのに・・・・」


頭を抱えていれば、ふて腐れたような声が降ってきた。




やがて、あの子はやってきた迎えに連れられて王城へと行ってしまった。


ルイザが王城へ行ったあと、何度も戻ってくるように手紙を出した。


妻と共に謁見を申請し、ルイザに家に帰るよう王城へ説得に行った。


王様が遠駆けにいらした際に挨拶を交わした縁で、アルベルト殿の協力のもとルイザと会ってはなせる機会を整えていただいたが、会ってはもらえなかった。


謁見の場となった部屋で2時間以上待っていたが、ルイザは現れなかった。



ルイザが王城に行き2月が経つ頃、ルイザに帰って来なければ勘当する旨を伝える手紙を出したが、結局返ってきたのは、『娘の幸せを祈れない親なんか信じられない』といった内容の手紙だけだった。



この手紙以降、手続きをとり娘を正式に勘当した。



この時点で、既に娘が問題行動をし始めたらしく為、世間の目が厳しくなってきていた。



これ以上、親子であろうとすれば、娘の行動は家の意向だと取られ、それによって生じる損害の責任を負う危険があった。


何より、娘はルイザだけだったが、ルイザの兄達が非難され始めていた。



その為、娘の行動が家の意向ではないと示すためにも、娘を勘当せざるを得なかった。


勘当後も、王城から聞こえてきたのは、王の寵愛を傘に、あの子が我儘で自分本位な行動をする悪女だ、という話ばかりだった。


・・・・私も、妻も勘当したとはいえ、我が子が変わっていくのがつらかった。



だが、勘当していたおかげで“家”としての被害が少なかったのは事実だ。


勘当後は、ルイザの兄達も非難されることも、問題視されることもなく日常をおくれたのだから。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆




今になってもっと反対するべきではなかったかという思いがよぎる。


国王陛下からルイザを妃にと言われた際、もっと強くあの子に反対すればよかったのだろうか。


出来る事はしたがもっと、何かあの子を止める事が出来る事が有ったのではないだろうか・・・



いや、ルイザは、まるで自分たちが物語に登場人物の様に『運命だもの障害だって越えられるわ』と聞かなかったではないか。



いかに悪女と言われ、問題を起こしたとはいえやはり我が子。



あの子は子供を持つことも無く、その一生は短い物となってしまった。



あの子が、ルイザが死んでしまった事が、今はただ悲しい。


お読みいただきありがとうございました。

誤字・脱字など有りましたら教えていただけると助かります。


5/22誤字訂正致しました。

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