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私の名は、ジュリアス・フォン・アインツ。
今現在この広間では私の王妃となる女についての提案がなされている。
私は、ハンサムと言われる顔を盛大にしかめて、今回の提案を受け入れた。
国王である私にはすでに5人の押し付けられた側妃がいるが正妃は居ない。
それは、悪徳公爵と名高いツヴァイ公爵の娘を国王たる自分の正妃として王家に迎え入れるさせたいと望む男の策略であり、計略のせいである。
5人の側室達に関してもそれぞれがツヴァイ公爵の息のかかった貴族のわがまま娘達であり、決して私が望んだ者達ではない。
いつ、寝首をかかれるかわからない女たちの元になど通ってもいない為、子がないことを逆手に取られ、今回正妃として、彼の悪徳公爵の娘を迎えることになってしまった。
こんなことなら、既存の側妃の1人にさっさと子を産ませるべきだったか・・・・
いや、孕んだ娘に堕胎薬位盛りかねないか。
正直、私としては歓迎できない話ではある。
しかし、王妃の父・王族の外戚となれば多少は、ツヴァイ公爵の悪事の抑止になる現況、最良の手段であると理解もできたので受け入れることにした。
ツヴァイ公爵なる人物、今、現在、国内で一番の権勢を誇る人物で容姿と頭は良いのだがやること成すことがとんでもない人物である。
ある時、とある貴族の奥方を気に入り誘ったが断られた為、その女性を手に入れようと為策略を巡らし、嫁ぎ先を実家をと次々につぶし、手にした後は飽きた時点で娼館へ下げ渡したそうだ。
またある時は、自領地内で塩・茶・酒などの特定の物の商売をするにあたり、許可制としその許可を与えるか否かを自分勝手に指示し、多額の礼金をもらったり、媚薬・興奮剤・麻薬といったものを製造、国内外にばらまいたりしている。
また、様々な証言は得られているのだが確たる証拠を掴むことはできていない。
配下としている貴族も多く、単純に捕え・処刑するだけでは国の根幹が揺らぐ恐れがあるので、下手に手を出すことのできない厄介な男だったのだ。
今回の公爵の娘との政略結婚は、以前から公爵家から言われていた『娘を王家に嫁がせたい』という希望を叶えることになったので公爵側からの反対もなくすんなり決まった。
政略結婚をするにあたり、公爵の2人いる娘の中、どちらが多少なりともましかという点は苦慮した。
公爵の方はしきりに妹の方をと、薦めてきたが怪しすぎる。
それに妹の方は社交界ですでに密かに悪女として噂になりつつある為、姉の方がマシだろうとの事で姉サフィーリアを指名することにした。
ただ、表に伝わってこない分姉の方が性悪である可能性は否めない。
・・・・正直どんな最悪な女が来るんだかと思っている。
まあ、いい噂も悪い噂も聞かない分、妹よりはマシであって欲しいとは私を含め城に仕えるの者全ての願いであろう。
はぁ、犯罪抑止の為、国主たる義務とはいえ憂鬱である。
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