表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(仮)王様と王妃様  作者: ちしゃ
愚王陛下の物語
17/38

閑話 側近の日記③

×月☆日


陛下ばかはやっぱり馬鹿だった。


開いた口が塞がらない。伝令にきた近衛の者は非常に気まずけな様子で状況を報告さらに、


「陛下に仕立て屋呼んでくるよういわれているのですが・・・」


と、付けくわえてくれた。


とりあえず仕立て屋を送ることにする。


アルベルト、お前がついていながら・・・・これで終わればいい。



×月●〇日


今日で1週間、陛下ばかが帰ってこない。


サフィーリア様に子供さえ生まれれば、もう帰って来なくてもいい気がする。


上司に「いない方が平和なのでは?」ときいたら、


傀儡王おうさまは必要ですよ。


君主たるべき王に仕えることが出来るのは誉ですが、現在、幸いにもこの国は他国に対して非常に有利な状況にあります。


わざわざ、王が無能だと示して争そいごとを招く必要はないでしょう」


と諭された。



×月◇〇日


陛下ばかがやっと帰ってきた。


陛下ばかは、ただの馬鹿ではなく大馬鹿おおばかの上、阿保あほだった。


視察先の孤児院で出会った、子爵令嬢を妃に迎えると言い出した。


『華やかなドレスより孤児に食事を与えたい』といいながら、送られた豪奢なドレス、宝飾を断らず身にまとう令嬢。


王だと明かした途端、自分の衣服を恥じるのが可笑しいとは思わなかったらしい。


自分の信念の結果ならば、恥ずかしがることは無いだろうに。


その令嬢は良いことしている自分に酔っているだけではないだろうか?


真に、『華やかなドレスより孤児に食事を与えたい』と思っているなら、陛下の送ろうとしたドレスや宝飾品は断り、代わりに寄付や支援をといいそうだが。


それに貴族末端の子爵家だというのも気になる。


あの階層は、いかに上の階層の者に気に入られるか教育をしていたように思う。


考え方も経済面でも王族になじめるとは思えない。




×月〇△日


あれだけ、私達側近が反対したのに結局陛下はかの子爵令嬢を側妃に迎えた。


名前はルイザというらしい。


馬鹿が、鼻の下を伸ばしながら甘ったるい声で呼んでいた。


・・・・もう、何も言う気が起きないのはなぜだろう。



◇月☆日


王城内でいちゃつく馬鹿とアホが頻繁に見られるようになった。


脱力感しかわかない。


アホに至っては、王城内の薬草園に入り込みそこの花を勝手に摘んで、庭師に苦情を言われているらしい。



○月☆日


離宮より急使、本日明け方サフィーリア様が無事に男児ご出産との事、母子ともに健康状態も良好との事だ。非常に喜ばしい。


陛下への伝えると共に祝砲がならされた。


王の義務として王子に名前が与えられた。


ユリウス殿下。良い名前だと思う。


水の神ユリジニアスからもじったのだろうか?


陛下にしては上出来だと思う。


サフィーリア様の産後の経過も良好だとの事でより喜ばしい。


早く帰って来ていただきたいものだ。



○月◆日


サフィーリア様がユリウス様を連れて帰城された。


ユリウス王子は生まれて間もないながら、可愛らしい赤ん坊だ。


私が、サフィーリア様の部屋を訪ねていたとき、側妃となったルイザ嬢が、ユリウス王子を見たいと、浮かれた様子で陛下に付いていらっしゃった。


愛する旦那様の正妻の子共って愛人の立場からは邪魔なものではないのだろうか? 

ユリウス様はルイザ嬢に抱かれると火が付いたように泣き始め、すぐさま乳母殿に抱き取られた。


なにやら、ルイザ嬢は未練そうにユリウス様の方を見ていたが、不穏な空気を感じ取ったのか乳母殿は、その後、ルイザ嬢にユリウス王子を抱かせることは無かっ

た。


乳母殿の名前はソフィー殿といい、ゼクス伯爵家の方だとの事だ。

お読みいただきありがとうございました。

誤字・脱字など有りましたら教えて頂ければ助かります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ