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(仮)王様と王妃様  作者: ちしゃ
愚王陛下の物語
15/38

*11*

若干長いです。


私は今、書類保管庫に来ている。


考え事をしていたら足が向いてしまったようだ。




私はいつから、側近達を個人として認識しなくなっていたんだろうか・・・・


即位してしばらくは彼らとて、“ジュリアス様”“ジュリアス陛下”と、を呼んでくれていた。



いつから彼らはただ陛下・・と役職名のみで呼ぶようになったのだろう?




人形サフィーリアが王妃として嫁いできた頃、彼らはまだ“ジュリアス”陛下と呼んでくれていたはずだ。


私はどうだった?


人形サフィーリアが嫁いできた時には彼らをすでに個人として認識しなくなっていなかったか?



ああ。そうだ側室達を相次いで持たされた頃から私は個人認識しなくなっていったのだ。


理由はなんだっただろうか?



・・・・・もう思い出せないが、酷く些細な事だったような気がする。






保管庫を見渡し、人形サフィーリアが嫁いだ頃からの書類を引っ張り出して見てみることにする。


かつて私が目を通し処理したはずの書類だ。


書類を見て、私は何を見ていたんだろうという尚早に駆られた。



民の生活を改善すべく提案された事案の数々にサフィーリアの名があった。


勿論書類はサフィーリアの名だけではなく複数名の提案という形で出されていた

が、これだけの数にサフィーリアの名があって私はなぜ、彼女の善良さに気が付かなかったのだろうか?



振り返ってみるれば、人形は、いや、サフィーリアは王妃として申し分のない働きをしていた。


ただ、私への配慮なのか、大々的に王妃の名でというの物はなかった。


たとえば、孤児たちへの援助。


王妃は孤児たちが独り立ちできるよう学ぶ場を整え、国策としての対応を整えた。


これにより、孤児院または教会施設で文字を簡単な計算を教えるようになり、民の識字率は上がり、職を得る選択肢が広がった。


今は、更にモデルケースとして学園を作り、高等教育を施した人材育成を目指しているらしい。



ルイザはただ金銭を、それも特定の孤児院に送るだけだった為、ルイザが援助していた孤児院では職員の汚職問題が起こったと報告書には書かれている。



治水事業も積極的で、過去に氾濫の起こった地域・場所が優先され、重点的に治水設備が整えられるよう配慮された事業としての提案・実行。


国中のあちこちに治療院なる物を作り医師や薬師を派遣し国民の健康増進を図り。


不足する医師・薬剤師の教育の場を整える為のガイドライン作成。


その費用の多くは、王妃に組まれた予算、または、王妃の所領とした土地の税収などで賄われていた。


足りない分は、貴族・商人などからの出資や寄付で賄われていたのには、驚いた。




私は本当に、今まで王妃サフィーリアの何を見ていたのだろうか?




◇◇◇◇◇◇◇◇◇



内乱は一向に収まる気配を見せず、ただ時間がながれていった。


この頃、ルイザの行動に目に余るものの様に映ってきた。



ルイザの行動は変わっていないはずなのに、その考えなしの行動が私をいらだたせる。


まだ8歳の王子ユリウスや7歳のアルティナでさえ理解し、我慢できることが彼女ルイザには我慢できない。



いつ襲撃があるかわからないのだから可能な限り外へ出るなと言っても、『綺麗な花が咲いていたから摘んでジュリアスに見せたくて・・・』と言って外にでる。


何もなければいいが、その結果、側で警護していた近衛の者が何名かケガをした。




なぜ、こんな考えなしの女を寵愛していたのか疑問に思い始める。


そして、ルイザをこそ王妃にと望んだ自分の馬鹿さ加減に嫌になった。



ここまで来てやっと、私はルイザが王妃たりえない者であることがやっとわかった。



なぜ、ジェームズはじめとした側近達や重臣になればなるほど認めなかったのかも。


ルイザでは駄目なのだと痛感した。




お読みいただきありがとうございました。

誤字・脱字など有りましたら教えていただけると助かります。


では、これからもよろしくお願いいたします。

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