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神ですよ

「ここ、俺ん家」

「ほー、立派な家ですね」

「そんなでもないと思うけど」

 俺の家は二階建ての小さな庭付きの家だ。

 周りの家と対して変わりない家なんだけど。

「いえいえ私の所よりずっと立派です」

「神様なのに?」

「ええ……。神にも色々あるんですよねー」

 神にも、色々、ねえ……。

 ま、いいか。


「うっわー、物がないですねー」

 俺の部屋を見ての、開口一番がそれだった。

「うるさいな。男の部屋なんてこんなもんだろ」

「いや、もっとごちゃごちゃしてるのが男の子の部屋なんじゃないんですか?」

「俺の部屋はこうなんだよ」

「エロ本も見えないですねー」

「見えるとこに置くわきゃねぇだろが! あ……」

 しまった。

 これじゃ見えない所になら置いていると言ってるようなものじゃないか。

 いや、てかこいつは俺ん家に何しに来た? 重要な話をしに来たんじゃないのか?

「お前話はどうしたよ?」

「え? 話、ですか?」

「さっき言ってただろうが。長い話になるかもだから家に上げろって」

「そういえばそうでしたかもですねー」

「早くしろよ話」

 そしてこいつを早く追い出そう。


「えー、何から話したらいいやら……。あれは、昨日の夜の事でした」

「意外に最近だな」

「ええ。そう、昨日の夜の事でした。

 私はいつものように人間の運命を適当に割り振っていました。

 人間の運命を決めるのは神様専用コントローラー。ゲーム機です。

 画面に選択肢が出るのでそれから選ぶということです。

 私もずっと単純作業で運命選択をしていました。しかし、私はある異変に気付いてしまいました。

 明日の運命を決めようと選択肢を見ると、ある人間の選択肢はこうなっていました。

 1、幼馴染に金属バットで殴られ、死亡。

 2、妹にメリケンサックで殴られ、死亡。

 3、ふいに包丁が刺さってしまい、死亡」

「ちょ、待ち」

「何ですか?」

 俺の記憶の中に刻み込まれた出来事に似たような選択肢があったぞ?

「それまさか……俺の選択肢か?」

 今日の朝。幼馴染の殴り込みに遭った。それと1の選択肢は似ていた。

「ご名答です。あなたの人生は今日の朝で終わるはずだったんですよね」

「はぁ!?」

「でもあなたは生きている。何故だと思いますか?」

 質問形式はやめて欲しい。俺は考えることなどせず素直に思ったことを言う。

「そんなん分かるわけないだろが」

「まあそうですね。答えは、私が死を阻止したからです」

「そんなんありなのか?」

「まあ普通はなしですね。しかし今回は少し違ったんです。あなたの死の運命が、意図的なものだったんですよ」

「意図的って言うと、誰かが俺を故意に殺そうとしたってことか?」

 信じたくはないことだが。

「そうです」

 背筋が凍った。

 

「誰が、そんなことを……?」

「誰、ですか。神ですよ」

「俺死ぬじゃん」

「だから今日一日守っていたでしょう私が。あなたが今日死ななかったのはひとえに私のおかげですよ」

「そりゃありがとな。でも犯人は誰なんだ?」

「それはですね、あ、ちょっとお茶もらえますか? 喉渇きました」

「……わかったよ」

 わがままな神様だ。

 ベッドから腰を上げ、部屋を出る。



 そして俺はその後の記憶がなくなった。

 


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