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試験

 遂に…この日が来たのか。

 私はアリスと共に、魔法学園の試験会場にいた。


 「イージス、お母さんと勉強頑張っていましたもんね。」


 「ああ。」

 「あの時間を無駄にしないためにも、全力で臨まないとな。」


 私は今まで数々の強敵と戦ってきた。

 しかし算術は、それよりも深い絶望を私に与えてきた。

 私は拳を強く握り締める。


 「緊張してるんですか?」


 「していない」


 「本当に?」


 「本当にだ」

 「アリス、お前も油断するなよ」


 「もちろんです」


 試験開始のチャイムが鳴る。

 私はペンを取り、問題を解き始めた。



 試験後…。


 「どうでしたか?」


 「悪くなかったぞ」

 「アリスはどうだ?」


 「私は正直…自信ないです」


 「そうか…」

 「まあ試験はここからだ」



 次は実技試験。

 受験生は魔法を的に放ち、その威力、スピード、射程を競う。


 試験官の指示により、早速受験生達が魔法を発動し始めた。

 やはり魔法学園というのもあって、才能のある子たちが多い。


 「次、アリス・アルカディア」


 アリスの名前が呼ばれる。


 「頑張ってこい」


 「はい!」


 アリスは的の前に立つ。


 「マジックアロー」


 魔法の矢が放たれる。

 アリスの矢は見事に的の中心を捉えた。


 アリスには魔法の才能がある。

 年齢的にまだまだ伸び代もあるし、将来が楽しみだ。


 「次、イージス」


 会場がざわめく

 貴族の家系には下の名前がある。

 しかし、私は平民の身。

 マルクスのおかげで試験を受けさせてもらっている状態なのだ。


 「使用魔法は?」


 「マジックアローだ」


 私は術式を発動する。


 この時代では、自然魔法は使えない。

 現代魔法の術式の定着もできなかった。

 ならば、やることはひとつ。

 術式を書き換えればいい。


 魔力が圧縮され、私の術式に集まる。


 「マジックアロー」


 強く放たれた私の矢は的を貫き、魔法学園の結界に突き刺さった。


 「……。」

 会場が静まり返る。


 「君、ちょっと来なさい」


 試験官に呼ばれてしまった。

 どうやら少し、魔力の通りを良くしすぎたらしい。


 研究室にて…


 「君が使った魔法、本当にマジックアロー?」

 「信じられない威力してたけど。」


 「本当だ。」


 「じゃあ術式、確認させて」


 試験官はそう言って私に刻まれている術式を確認し始めた。

 まあ、こんなこともあろうかと術式の書き換えは最小限にしている。

 術式のズレを0.1mレベルで認識できない限り、これは見破れない。


 「うーん」

 「術式は正常ね」

 「何も変な所はなかったわ」


 試験官は他の試験官達にもそう伝え、会場に戻るよう指示をする。


 「誤解が解けたようでなによりだ」

 「私も失礼させてもらう」


 「ちょっと待って」


 「何だ?」


 「あなたもしかして、術式の細工に気づいてる?」


 「……どういう意味だ?」


 「そのままの意味よ」

 「あなた、魔力の通りを良くしている他に、術式の細工を書き換えてるでしょ」


 どうやらこの女には、全て筒抜けらしい。


 「だとしたら、どうする?」


 「どうもしないわ」

 「ただ覚えていて欲しいのは、私は敵ではないってこと」

 「そして安易に術式を書き換えない方が良いってこと」

 「術式を書き換えた者は、異端者として処分されちゃうからね」


 「…頭に入れておこう」


 私はそう言って研究室から出た。


 「イージス、大丈夫でしたか?」


 アリスが心配そうに聞いてきた。


 「ああ。大丈夫だ」


 しかしあの女は一体…。

 とりあえず、術式の書き換えはやめておかないとな。

 私はそんなことを考えた。

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