もう一つのファイル
WHの次にあるFIは、冬のダイアモンドのフォルダに掲載されていた研究所の略称のはずだ。
詩はテーブルにあるもう一冊のファイル、「Bericht für die Wahrheit」、日本語で「真理のためのレポート」のタイトルのファイルに目をやった。その表紙の下部にも、「真理探究機関」の文字が記載されていた。
つまり、この二つのファイルは、いずれも真理探究機関が発行している文書だ。そのとき、詩は確信した。このもう一つのファイルはきっと冬のダイアモンドのパスワードで出現した各研究所のレポート集だ。そう予測して、詩はその真理のためのレポートのファイルを開いた。
最初の頁には、ドイツ語で真理探究機関研究部の名称が上段に記載されており、その下段には研究所の名称が順番に列挙されていた。その研究所の並びは、詩が冬のダイアモンドのフォルダの研究所名を書き留めていたリストそのものだった。
日本語に訳すと、以下のようになる。
「真理探究機関 研究部
FI/1: 神話学研究所
FI/2: 考古学研究所
FI/3: 天文学研究所
FI/4: 宇宙物理学研究所
FI/5: 人類学研究所
FI/6: 言語学研究所
FI/7: 哲学研究所
FI/8: 宗教学研究所」
間違いない、これらはいっちゃんの実家に保管されていた書籍を調査していた研究所だ。
期待に胸を膨らませて頁をめくると、その次の頁にはInhaltsverzeichnis、ドイツ語で目次とあり、そこにはレポートのリストが記載されていた。今までのリストと違うのは、そこに各レポートのタイトルが記載されていることと、目次らしく頁番号が記載されていることだった。
WH/FI/001 Verhaeltnis zwischen Mytus und Wahrheit 9
WH/FI/002 Klassifizierung der Mythen 13
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やはり、思った通りだった。このファイルは、詩がずっと探し求めていたレポート、茶室の図書館にあった書籍の情報を纏めたレポートのファイルだ。
この目次の頁を目にして、詩は以前に疑問に思っていた全てのレポートに共通している頭文字WHはWahrheit、つまり真理の略称ではないかと推察した。きっとそうだ。このファイルの資料は、Wahrheitssuchende Organisation、真理探究機関がまとめた真理に関するレポートで、WHとはWahrheit、真理の略称なんだ。
更に頁をめくっていったが、これら数多くのレポートのリストを列挙した目次が延々と続いていた。その目次の頁数からもこのファイルがいかに膨大な量のレポートの集大成であるかがわかる。
丁寧に一枚ずつそれら全ての目次の頁をめくり終えると、ようやく最初のレポートが現れた。




