四つの面
開いたファイルの左頁には、「第1章 四つの面」というタイトルが記載されていた。いよいよ、ここから各章が始まるようだ。そして、開いたファイルの右頁には、また謎めいた四行の詩が記載されていた。
北の面:code00
北の面は虚無
無限の可能性
全ての創生
真理の原点
ドイツ語ではなく日本語だったが、詩の意味がわからない。さっきと違って、風景描写はないのでイメージも浮かばない。何かを暗示しているようだが、一体、何を意味しているのだろうか。code00というのも意味不明だ。ここでもいろんな疑問が湧いてきたが、先に頁をめくることにした。すると、その次の頁には、以下の文章が記載されていた。
「北の面は、四つの面の一つ。精神要素と物質要素の両方が存在しない面、すなわち、虚無を示す面。」
これは何かの哲学か宗教の話しだろうか。文章の意味が高尚過ぎて、哲学者や宗教家ではない素人の私にはよくわからない。
次の文章も同じように謎めいていた。
「要素が存在しないことは制約がないということ。すなわち、可能性は無限。」
あらためて、前の頁の四行の詩の内容を確認すると、この文章は詩の第二文の意味を解説しているのだと気づいた。そう思ってひとつ前の文章を確認すると、それは第一文の解説文のように思えた。つまり、この頁に記載された内容は北の面の四行詩の解説文だと詩は推察した。
その理解でその次の行を読み進めると、そこには予想した通り、第三文の解説が記載されていた。
「いかなる創生も自由。宇宙、空間、時間、精神の創生も可能。北の面は全ての創生の起点。」
まるで、宗教家の説教を聞いているようだったが、続いて最後の4行目の詩の内容を確認した。きっと、これが詩の結論のはずだ。
「創生の内容によって、その世界を律する原理、原則が定まる。したがって、北の面は真理の原点。」
いっちゃんに聞きたかった。
「いっちゃん、これは何?」
心の中の言葉が、思わず、声に出た。
一体、これが今の私とどういう関係があるのか説明して欲しかった。彼との再会に繋がるロマンチックな内容が書かれていると想像していたのに、この文書だと私には難し過ぎて、彼が私に何を伝えたいのかが全然わからない。
そんな気持ちで唇を尖らせながら更に頁をめくると、そこにはこの解説文の根拠になっている参考文献が列挙されていた。WHから始まる見慣れたレポート番号だ。この文字列は、詩が最初に見た冬のダイアモンドのフォルダに記載されていた番号の体系と同じだ。
WH/FI/003 18103
WH/FI/004 18401
WH/FI/005 18402
・
・
・




