表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Pomegranate I  作者: Uta Katagi
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/105

暗証番号の再考

 星占いも外れだな。そう思って、とぼとぼと駅の方に戻る道を歩いた。行きと帰りでは、こうも気持ちが違うのかと思った。


 ただ、せっかくここまで来たのだから、良い天気だし、少し散策をしてお昼を食べてから帰ろうと思った。こんなときは、気分転換が必要だ。ここは港町、有名な中華街がある場所だ。そこまで歩いて小籠包でも買い食いしようかな。それか、足をのばして異人館通りをぶらついても良いかもと考えた。


 いっちゃんなら、どちらを選ぶだろうかな。ここは国際的な貿易港だから、たくさんの外国語を学んでいるいっちゃんにとっては、楽しい街のはずだ。そう考えていると、ふと、いっちゃんが言っていたことを想い出した。


 『外国語を学ぶとき、何が難しいかっていうと、語順が違うんだよ。英語は先に主語、その次に結論としてどうなのかを表す動詞があって、最後にその説明の言葉が並ぶ。一方、日本語だと説明が先で、結論としての動詞は最後。日本語だと結論を考えながら話せるけど、英語は先に結論が必要になる。だから、日本語で考えていると、英語が話せないんだ。』


 語順…

 話の内容はこの後、英語の勉強法になっていったが、今は語順という言葉に引っかかった。


 6の約数って、1・2・3・6の順番でなくても良いかもしれない。銀行でも1・2・3・4のような安易なパスワードは盗まれやすいから、そういうパスワードは設定しないように注意している。


 ここまで考えた時に、6行の詩にあった「完全数の要素」という文字が下から上に逆に配置されていたことを想い出した。


 きっとそうだ。1・2・3・6の並びにもう一工夫あるんだ!


 確かに、簡単すぎる並びだと、大切なものを守るには少し配慮がない気がする。貸金庫のフロアが閉まる12時まで時間がある。帰宅する前にもう少し、ここで考えてみよう。そう思って予定を変更し、駅地下のコーヒーショップに入った。


 このお店には、私の好きなゆず味の紅茶があった。その紅茶を注文して、テーブル席に座って落ち着いて数字の並びを考えてみる。一番あり得るのは、6・3・2・1だ。逆に並びを変えてみたもの。完全数の要素という言葉の並びが上下反対になっていたので、その並びに従うとこうなる。有力な候補だ。


 だけど、少し自信がない。4回間違えるとゲームオーバーだ。残り3回で成功しないといけない。納得できるまで考えよう。


 6を構成する約数…


 あれ、聞かれているのは、完全数の要素だ。

 約数と要素とでは、意味が違うのかも知れない。


 ここで、完全数の定義をもう一度、ネットで確認してみた。

 『完全数とは、その数字を除く約数の和』


 その数字を除いた約数の和…


 ということは、完全数6の要素というのは、6を除いた1と2と3なんだ。


 でも、暗証番号は4ケタ。

 まさか、0・1・2・3? 


 いや、これも簡単すぎて相応しくない気がするし、やはり六芒星だから、6は必要なはずだ。


 六芒星の意味を表すのであれば、先頭に結論の6を記載して、その理由を後で説明するならこうかな。


 6=1+2+3


 英語と日本語の違いの話しを想い出した。いっちゃんの思考ならこの並びかも知れない。


 そもそも、『完全数の要素』という言葉をそのまま、数字で置き換えると、完全数は6、要素は1と2と3だから、6・1・2・3。


 よし、候補は、6・3・2・1と、6・1・2・3の2つだ。もう一度、貸金庫の部屋に入ってチャレンジしてみよう。例え両方が外れだとしても、ロックがかかるまで、もう1回チャンスがある。


 ただ、もし失敗したら絶対に帰ろう。そして出直してラストチャンスに賭けることにしよう。


 カップのふたを外して、底に溜まっていたゆずの果実を飲み干して、コーヒーショップを後にした。口の中に柑橘系の香りとほどよい甘さが広がった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ