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貸金庫室
ドアノブを回して扉を開けた。部屋に入ると、その奥には更に自動扉があった。その自動扉は透き通ったガラス製で、向こう側が見えるようになっていた。ただ、前に立っただけでは開かない。扉の前には暗唱番号を入力する端末が設置されており、暗唱番号があえば自動扉が開くしくみだ。いよいよだ。
端末の前の椅子に座り、呼吸を整えて、端末に暗証番号を入力した。
『1』、
『2』、
『3』、
『6』
押し間違わないように、ゆっくりとキーを押した。
そして、入力完了のボタンを押す…
「もう一度、入力してください。」
端末が自動で音声を発した。
開かなかった…
どうして。心の準備はしていたが、ショックだった。
ここまで来たのに、名残り惜しい。
本当に残念で仕方がないけれど、事前に決めた通り、何事もなかったかのようにフロアを後にした。




