不思議ちゃん
連休明けから仕事の引継ぎの関係で、派遣社員の佐藤さんと話をすることが多くなった。来た当初は佐藤さんも少し緊張していたようだったが、徐々に仕事にも慣れてきたみたいで、話をすると結構、不思議な雰囲気で面白い子だとわかった。この日も休憩室で菜美ちゃんとこの時期シロツメクサがたくさん咲いているという話をしていると、髪の毛をおしゃれなポニーに纏めた佐藤さんがやってきて、不思議な話をしてくれた。
「四つ葉のクローバーって不思議なんだよね。この間もテレビで見たのだけど、小さな女の子に語り掛けることが出来るみたいなの。」
「え、どういうこと?」
あまりに不思議なことを言うので、菜美ちゃんが聞き返すと、佐藤さんがテレビの話しを説明してくれた。
「ある小さな女の子がね、次々と四つ葉のクローバ―を短時間で見つけるので、お父さんが不思議に思ってどうしてすぐに見つけることができるの?と聞いたのよ。そうしたら、四つ葉のクローバーが『ここにいるよ』って言っているんだって。」
「え、クローバーが話すの?」
菜美ちゃんと私はそんなことはないはずだと思い、その女の子が何かの超能力を備えているのかなという話をした。
ただ、佐藤さんは他にも四つ葉のクローバーの声を聞いた女の子がいるという話をして、最後にこう言った。
「四つ葉のクローバーを見つけると幸福になれると言うじゃない。きっと、昔の人はその声が聞こえていたんじゃないかなと私は思うんだ。」
この頃から私と菜美ちゃんの間で、佐藤さんのあだ名は不思議ちゃんになった。




