葉音
「お姉ちゃん!ありがとう!」
妹の葉音が、テーマパークのお土産を貰って、屈託のない笑顔で嬉しそうに声を上げてくれた。
ここは田舎にある実家のお茶の間だ。子供の頃に両親が建ててくれたという平屋の家屋に帰省している。手土産に先日、菜美ちゃんと遊びに行ったときに購入した妹が好きそうなキャラクターのお菓子を持参して今日ここにきた。
「本当に元気になって良かったけど、もっと頻繁に連絡してよね。」
と母親が急須にお湯を注ぎながら、ちくっと苦言を呈してきた。
「ときどき連絡してたじゃない、便りがないのは、元気のしるしよ。」
「でも、心配するわよ。お父さんもずっと気にしていたんだから。」
「ごめんごめん、もう言わないで。私も会社に復帰して忙しくしていたのよ。」
そう言われるだろうと予測していたが、あまり責めないで欲しいと思った。両親に迷惑をかけたのは十分に知っているし、感謝もしている。
「ところで、お父さんは?」
ここで、葉音が助け舟を出してくれた。
「詩がくると聞いて、街にケーキを買いに行ってるよ。」
「何のケーキかな。」
「そんなの、お母さんは知らないわよ。」
他愛もない会話だが、何の気遣いも要らない家族の団欒は久しぶりだった。自分では独り立ちしたと思っていたが、いつまでたっても両親にとって私は子供なんだなと思った。お盆と正月にはまたここに来よう。




