テーマパーク
視線を窓の方に移すと、パークは夕方色に染まり、キャラクターのお土産をたくさん抱えた家族連れが出口の方にぞろぞろと向かっている様子が見えて。久しぶりに見るその景色は、詩の心に残った。
「それがね、彼と喧嘩したのよ。」
菜美ちゃんが、アイスティーに刺したストローをくるくるとかき混ぜながら、語り始めた。
「え、何かあったの?」
「何だか優しくないんだよ。こっちがこんなに想っているのに。」
菜美ちゃんの口から堰を切ったように、彼氏の話しがあふれ出してきた。話の内容はともかくとして、詩は嬉しかった。このやりとりは、昔と同じだ。
長い話なので要約すると、どうも菜美ちゃんが感染症にかかった時に十分に気遣ってくれなかったという話らしい。菜美ちゃんの体調を気遣う話はおざなりで、会社には報告したのかとか、他の人に言わないといけないとか、事務的な話ばかりで、そういう態度が冷たく感じたという話しだった。
そういえば、いっちゃんは私が病気になったときは、七日間物語を執筆して毎日送ってくれたことを想い出したが、菜美ちゃんにそんな話はしなかった。
遠距離で会えない期間が長いため、相手の態度が気になる気持ちはよく理解できる。だからといって、別れるとかいう話ではなく、ただ話しを聞いて欲しいだけなんだと思った。
「男の人って、そういう気遣いはあまりしないからね。でも、遠くからマメに会いに来てくれてるんでしょう。私は優しいと思うよ。」
「そうかな。ごめんね、愚痴を言ったりして。」
「ううん。大丈夫だよ。また菜美ちゃんの話しも聞かせてね。」
そして、詩は菜美ちゃんに言った。
「菜美ちゃんは可愛いから大丈夫だよ!」
久しぶりに明るく他人を励ます言葉が、口からこぼれた。
それを聞いて、菜美ちゃんは言ってくれた。
「詩ちゃんも可愛いから絶対に大丈夫だよ!」
日が暮れてすっかり暗くなったパークの窓ガラスに映る二人の表情はキラキラしていた。想い出に残る一日になった。




