表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Pomegranate I  作者: Uta Katagi
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/105

魔法の杖

 「詩ちゃん、こっち!」ゴールデンウイークで混み合うパーク内のレストランで菜美ちゃんが席を取ってくれていた。詩はトレイ一杯に乗せたサンドイッチとポテト、オレンジジュースなどのドリンクを持ったまま、菜美ちゃんのところまで歩いていった。今日は、会社の同僚の菜美ちゃんとテーマパークで遊ぶと約束をした日だ。今日は、朝から天気も良くて、絶好の行楽日和だ。


 誰かのために何かをするって、やっぱり楽しい。フードを運んでいるだけだったが、仲良しの菜美ちゃんのためになっているのは嬉しかった。今日は一日とことん楽しもうと心に決めて、開演前からゲートに並んで人気のアトラクションを巡ったら、もうお昼になっていた。


 「次はここに行こうよ!」

ポテトを咥えた菜美ちゃんが指し示したのは、著名な映画の世界を再現したエリアだった。そう、人間界と魔法界が共存する世界感を再現した世界だ。


 「私、魔法の杖を買いたい!」

 「私も!」

 行動力が旺盛な菜美ちゃんに、間髪を入れずに賛同した。本人が意識しているかどうかは知らないが、菜美ちゃんが私を励ましてくれる気持ちが伝わってくる。本当に感謝の気持ちしかない。


 しかも、魔法の杖は以前から欲しかったアイテムだ。私もいっちゃんみたいな魔法を使いたい。


 「さあ、次にいこうか!」

 食べ終えた途端、菜美ちゃんがトレイを片手で持ち上げて催促した。ショートヘアの後ろ姿が可愛い。今日は菜美ちゃんといっぱい遊ぼう。


 結局、一日中アトラクションを楽しんだ後、くたくたになったのでパークの出口付近のカフェで休憩した。このままだと、電車に乗るのもしんどいので、最寄り駅に向かう前に二人ともどこかに座りたかった。


 メニューをみて選んだアップルティーの香りを楽しみながら、詩はずっと気になっていたことを聞いてみた。


 「菜美ちゃんさあ、あの遠距離恋愛していた彼氏とは最近どうなっているの?」

 「え!」

 いきなりの私からの恋バナの質問に、菜美ちゃんはチョコアイスが付いた口元を覆い、少し戸惑った表情を浮かべた。

 そして、少し間を置いて、菜美ちゃんは私の眼をみつめながら聞いてきた。


 「私の話しを聞いてくれる?」

 「もちろんよ、何か進展はあった?」


 これまで、菜美ちゃんから彼氏の話しは散々聞いてきた。きっと、話したいことはたくさんあるはずだ。ただ、あのとき以来恋愛の話は、お互いに全くしなくなった。私がずっと落ち込んでいたので、菜美ちゃんの方から彼氏の話しはしづらかったのだろうと思い、この機会に私から聞いてみようと思っていた。


 そんな風に思えたのは、暗証番号が判明して、きっと私の気持ちに余裕が出てきたからだ。これからは、お世話になっている菜美ちゃんのために何かをしたい気持ちが、パークに入園したときから湧いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ