ピタゴラス数秘術
スーパーから戻って、段ボール箱から取り出した本はピタゴラス数秘術という本だった。これが最後の書籍だった。最後の最後に、数字に関する本が出てきた。他の本と比べても、たくさんの付箋が貼られていたので、多くの書き込みがあるみたいだったので、暗証番号の秘密が記載されているのではないかという期待が高まった。最後の宝くじの番号を確認するときの気持ちみたいだ。
まず、落ち着いて、そもそもピタゴラス数秘術って何だろうと思って中を開いてみた。ピタゴラスの名前は聞いたことはあるが、詳しくは知らなかった。冒頭の下りを読むと、ギリシャの数学者で三平方の定理を産み出した著名な数学者だったことを知った。
秘術というから著名人の名前を語った怪しい占い師の本だったらどうしようかと一瞬、思ったが、そうではないことは確かだった。いっちゃんの蔵書は、全て社会的に評価された学者たちの書籍が集められている。だから、いろんな不思議な説が書かれていても信用できている。
そのとき、ふと思った。もしかしたら、研究者って…
歴史上の科学者も含めて、ファイルに記載された研究所の研究者って、これらの膨大な書籍の著者全員のことを言っているのかも知れない。そう考えれば、ネットのフォルダの共有者情報に他の研究者の名前が出て来ないことも納得できる。きっと、そうかもしれない。
だけど、その場合、いっちゃんっは一体どういう存在だったのだろう。歴史や国を超えて、著名な学者たちの意見を独りで全部集めてたってこと?全知全能の神を目指すために?もし、そうだとすると、ゼウスに狙われたとしても当然かも知れない。
いっちゃん、今どこにいるの…
いろんな疑問が生じたが、今はピタゴラス数秘術のことを知ることが必要だ。暗証番号さえ分かれば、全てがわかるはずだ。
この数学者の本が哲学や宗教のコーナーにあるのは、きっと午前中に読んだ本でプラトン的世界の書籍だからだ。つまり、この世界を支配する法則には、数学の原理も入るのだろう。そういえば、物理の法則も数学の式によって記述されているから、そうに違いない。
書き込みのある頁を開いていくと、神秘的なことが書いてあった。
ピタゴラスがいうには、この世界は数字に支配されているとのこと。
そして、その本には、各数字の意味が書いてあった。
2が女性で、3が男性、4が真理で、2+3=5で結婚、2×3=6で愛の結晶、『完全数』と書いてあった。
愛の結晶、『完全数』?そのとき、『完全数』という文字を大きく囲まれていることに気づいた、少し興味があったので、完全数って何だろうと思い、調べてみると、以下のような説明があった。
『完全数とは、その数字自身を除く約数の和が、その数字に等しくなる自然数』
約数とは何だっけ。ネットで検索すると、ある整数を割り切ることの出来る整数のこととある。確かに昔、学校で習った。そうすると、6は、1と6の他に2と3で割り切れる。だから、6の約数は1と2と3と6だ。
完全数の定義でその数字自身を覗く約数とあるから、6を覗いた残りの約数は1と2と3だ。確かにこれらを足すと、1+2+3=6になる。だから、6は完全数だ。




