プラトン的世界
つまり、人間の意識は、脳の中で生まれていて、その脳の中の現象は神経細胞のニューロンやシナプスの働きによって分析できるというが、実はまだ詳しいことはわかっていないというものだった。なので、この本の主張でもある現代科学に向けての課題提起は、この世界の全てを理解するためには、宇宙と量子に加えて、心の研究が必要ではないかということだった。
心の中の現象が明らかになれば、精神世界のことも理解でき、物質世界と合わせて、この世界の全てが理解できるという説だ。統一理論の夢を更に拡張したようなものだなと、詩は思った。
プラトン的世界、この本に記載されているもう一つの世界がその理論のような気がした。そう、この世界には精神世界と物質世界の二つが存在しているが、ばらばらに存在しているのではなく、ある原理に基づいて存在している。それをこの本では、プラトン的世界と記載している。物質世界を支配する物理法則は、このプラトン的世界の一部だという。
プラトンという名称は、哲学のような考え方を意味する名称として、使用しているのだろうが、男女を一つの球体として纏める人間球体説と似ているなと、詩は思った。これまでの書籍が伝えてきたことの全てに繋がるような原理を象徴するのに、相応しい名称だと思った。
当然ながら、この説に反対する科学者もたくさんいるようで、本には多くの反対意見も記載されていた。この本の説が正しいのかどうかは不明だが、人の心が法則や理論で証明できないという説は、なんとなく人間的で賛同できるなと詩は思った。
そうでないと、私といっちゃんとの出会いやこれからのことも全て理論的に計算できるなんて、何とも味気ない世界で嫌だ。りんごが落ちたり、自動車が加速したり、磁石が引き合ったりする現象は科学で説明できたとしても、人を大好きになる気持ちや何を目指したいかという意思は、物理法則や理論で計算されるものではないと信じてみたい。
何よりも運命は自分で切り拓くもの。本当の幸せは、夢に向かって手を伸ばす人に訪れる。いっちゃんの言葉を信じてみたい。
そう考えると、いっちゃんが集めたこの書籍が、最先端の科学の書籍だけでなく、神話に始まる書籍も対象としていることは、いっちゃん自身も精神世界の存在を是認しているように思えた。
そう、ここはポルックス、神話の世界も精神世界の一部だ。少しづつ、核心に近づいている気がした。




