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Pomegranate I  作者: Uta Katagi
第3章

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研究所の謎

 自宅のリビングルームに収納ケースが届き、これまでの書籍も研究所毎に整理されたので、次の週末から書籍の探求を再開した。朝から温かい紅茶を淹れて、新しい段ボール箱を開封してみた。この箱には、古代遺跡シリーズとか、古ヨーロッパの神々というタイトルの世界各国で発掘された遺跡の写真が掲載されている本が入っていた。


 その本には、記載された大地母神に関係しているとか言う渦巻模様の文様がある古代の遺物の写真が掲載されていた。それらの写真を興味深くしげしげと眺めていると、「まるで私、考古学者みたい。」と思わず声に出してしまった。そうここは、考古学研究所FI/2、パスワードはシリウスだ。


 箱の中には、歴史の本も入っていた。ただ、これらは学校で学んだ近代史ではなくて、人類の起源、マヤ文明など、古い時代の歴史に関する本ばかりだ。いっちゃんは神話だけでなく、世界各国の歴史の本も収集したのだろうか。日本ではあまり聞きなれないフェニキア史、中央ユーラシア史、北欧史という本もある。


 それぞれの本を開くと、古代遺跡からの出土品に関する神々の記述などに下線が引いてある。なるほど、神話学研究所にあった神話の世界がどういう風に歴史として出現したのかを確認した記録のように思える。


 いっちゃんは一体、何を調べていたのだろうか、この世界の起源の探求だろうか。遺跡の写真を眺めながら、彼の考えに想いを馳せた。


 書籍にある書き込みの箇所をチェックしていて、フェニキア史の本に記載された文言が気になった。後で確認したところ、フェニキアとは古代の地中海東岸の地域名ということだった。具体的には、古代エジプトとバビロニアの間、今のレバノンの辺りを指す地域らしい。文化的な影響を受けたためか、多くの部分にエジプト史についての記載がある。その本の下りに記載されていたのは、再生と復活の伝承だった。


 再生と復活。エジプトで思い出すのはピラミッド、再生と復活を願って国王は埋葬されたと聞いている。スピリチュアルな世界だけど、大切な人を亡くしたときに復活を信じてみたい気持ちはよく理解できる。


 エジプトと言えば、先日のピラミッドとオリオン座の話しが想い起こされる。再生復活と星座。何か関係があるのかな。そう思って、FI/1のラベル表示のある神話学研究所の収納ケースを開けてみた。そして、その中からエジプト神話の本を取り出した。


 本を開くと、エジプトの宇宙起源神話の箇所に二重線があり、そこには、この世界はオグドアドという8つの元素から産まれたとされるという記載があった。古代エジプトの神官達が星空を観測しながら考え出したこの宇宙の起源に関する哲学的な原理が記載されていた。内容はよくわからないが、現代科学で習った原子や分子という現代科学でいうところの元素ではないことはわかった。


 先日、科学者の求める統一理論の探求もロマンだなと思ったが、こうして哲学的な思考から宇宙の起源を考察するのも確かにロマンだと思った。しかも、神官達が創造する原理原則は星空と密接に繋がっている古代のロマンだ。


 いっちゃんは昔から次から次へとロマンチックな話をしてくれた。本当によく知っているなと思ったが、そのルーツはここにあったんだなとあらためて納得した。


 まだ、暗唱番号は不明だったが、ここまでに出てきた数字に関する記述は、六芒星の6、そしてこのエジプト神話の8だ。8は研究所の数とも一致する。これらは、暗証番号と何か関係があるのだろうか。星座と関係する再生と復活と用語も気になった。


 なんとなくだったが、詩はこれまでの全ての情報は実は互いに無関係なものではなくて、何か一つの考え方で全て繋がっているような感じがしていた。


 考えを巡らせていると、頭の冴えた朝になった。温かい紅茶を飲み干しながら、落ち着いてこれまでの一連の出来事を振り返ってみた。


 六芒星の手紙、貸金庫、共有フォルダのメッセージ、冬のダイアモンド、八つの研究所、膨大な書籍。


 結局、研究所が何なのかがわからない限り、暗証番号はわからない気もする。六芒星をマークとする何かの組織か秘密結社なのだろうか。映画に出てくるフリーメイソンという組織みたいなものがこの世に存在していて、もしかするといっちゃんはそのメンバーだったのかもしれない。


 時々、謎めいたことを言ってきたり、ドイツ語を使ったり、そもそも魔法使いと名乗ったりしていることも、そう考えると全て理解できる。もしそうなら、あの貸金庫は秘密結社にとって重要なものが隠されているはずだ。


 私なんかが貸金庫のカードを持っていて本当に大丈夫なんだろうか?いっちゃんと私のロマンスで済む話なんだろうか。会社の行き帰りにさらわれたりしたら、どうしよう。全くの妄想かも知れないが、未知なことが多すぎて少し怖さを感じる週末になった。


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