表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Pomegranate I  作者: Uta Katagi
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/105

美紀先輩

 「菜美ちゃん、取り皿をとって。」

 テーブル越しの向こうに座っていた美紀先輩が菜美ちゃんに声をかけた。ここはピザやパスタが美味しいと評判のイタリアンレストランだ。内装がヨーロッパ風でステンドガラス風のステッカーが貼られている出窓の傍にはアンティークな雰囲気の置物が飾られている。


 今日は新年度早々の職場のメンバーとのランチ会だ。先週、派遣社員の方が入ってきたというので、その歓迎会を兼ねている。事前の予約の際に湖嶋さんはどうする?と聞かれたが、復帰以来、みんなが優しくしてくれているので、ストレスもなく体調も特段悪くはない。なので、断る理由もなく、喜んで参加することとした。


 ドリンクで乾杯し、サラダなどの前菜をつまみながら、松野さんが新しく入った佐藤さんという派遣社員を紹介してくれた。まだ職場に入ったばかりで、少し緊張気味の佐藤さんの挨拶が終わった後、職場のメンバーが一人づつ、それぞれの近況報告を中心に松野さんが進行役になり、佐藤さんに向けて自己紹介を行っていった。


 自己紹介が進む中、ウエイターさんが今日のランチコースに含まれているズッパという名前のスープを各自の席に持ってきてくれた。


 「私、ここのスープ大好きなんだ。美味しいよね。」と隣に座った菜美ちゃんが呟いたので、「うん、これ美味しいよね。」と詩は頷いた。そろそろ、詩の自己紹介の順番が近づいていたので、話のネタにグルメの話しをしてはとの同期の菜美ちゃんの親切心を感じた。


 そして詩の自己紹介の番になったとき、丁度、注文していたピザやパスタが運ばれてきたので、詩は菜美ちゃんのお薦めに従って、グルメの話しをすることにした。昔、いっちゃんとグルメのお店を巡っていたので、美味しい料理を提供するお店はよく知っていた。特にスープの話題には詳しかったので、その話をした。


 この店のメニューにあるズッパというのは、イタリア語でスープの意味。野菜ベースのさっぱりしたミネストローネとは違って、パンなどを浸して食べると美味しいボリュームのある食べるスープ。イタリアの中でもトスカーナ地方のズッパはヨーロッパの人からも評価が高い。


 そんな豆知識を昔、聞いたエピソードとして紹介しながら、佐藤さんに『もし興味がありましたら、美味しいスープが提供されるお店を紹介しますよ』という話をした。話終えたとき、隣の菜美ちゃんがテーブルの下で小さくピースサインをしてくれた。菜美ちゃんがいてくれて心強い。


 そういえば、いっちゃんが連れていってくれたお店はどこもスープが美味しかった。オニオンスープやクラムチャウダーという一般的なスープだけでなく、ロシア料理のボルシチや、タイ料理のときのトムヤムクンも最高だった。


 そういえば、彼がお店でよく言っていた言葉を想い出した。

『今の内にスープを飲んでおこう。』


 私は、『今の内って何?』と聞いたけど、『それはまだ秘密。』と言われた。


 あれは何だったのだろう。


 今となっては、少し気になる言葉だった。今度、芽依ちゃんに話してみようかな。食事会が終了してお店を出ると、先週くらいまで綺麗に咲いていたのであろう桜の樹が若芽の緑で覆われていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ